TOPPANデジタルは4月17日、子どもの日々の心身状態と、自治体が保有する教育や健康に関するデータを連携することで、学校生活に不安を抱える子どもを早期発見し支援につなげるサービス「まなびのあしあと」を開発したことを発表した。同サービスは2025年4月より提供開始される。

同サービスの利用料は、初期構築費(500万円から)とサービス利用料(1校につき月額3万円から)で構成されている。

  • 「まなびのあしあと」の概要

    「まなびのあしあと」の概要

開発の背景

近年、不登校やいじめなど子どもを取り巻く問題は複雑化しており、不登校の児童生徒数は2024年で34.6万人と過去最多になっている。

支援センターやスクールカウンセラーの設置などにより困難が顕在化した子どもへの支援が行われているが、対応が必要な子どもの増加により支援が追い付いていないのが現状。そのため、子どもの困難が顕在化する前の未然防止が求められている。

支援にあたっては一人ひとりの心身状態を正確に把握することが重要となるため、健診受診データや予防接種の履歴、出欠の記録など、さまざまな情報を連携することでより適切な指導が可能となる。

そこでTOPPANは、情報コミュニケーション事業を通じ培ってきた情報加工技術や個人情報管理などのノウハウを活用し、子どもの心身状態の変化や、自治体の保有するデータを安全に連携することで、学校生活に不安を抱える子どもを早期発見し、支援につなげるサービス「まなびのあしあと」の提供を開始する。

サービスの特徴

同サービスは、子ども版ポータルへ、子どもの興味関心/毎日の気分・体調/睡眠時間/朝ごはんの摂取有無/1日の感想などを、本人に日々入力してもらう仕様となっている。

入力内容は子ども本人が自分の心身状態を確認できるだけでなく、教員版ポータルにて連携され、教員が子どもの変化にいち早く気づくことも可能となっている。

さらに、出欠席・通知表・保健室来室などの教育データや、健診受診日(3カ月、1歳半、3歳)・予防接種・子育て支援記録などの健康福祉データなど、自治体のさまざまな部署が保有する約100項目のデータを、個人情報保護法に基づき安全に配慮した形で連携する。

これらのデータを、愛知教育大学 教育科学系・心理講座の鈴木美樹江准教授と、京都大学大学院 教育学研究科・教育認知心理学講座の高橋雄介准教授が共同開発した分析手法を用いて統計分析し、欠席日数と相関関係の高い項目を子どもの不登校につながる要因として抽出するという。

子どもがポータルに入力した心身データと、自治体データから抽出した不登校につながる要因を照らし合わせることで、学校生活に不安を抱える子どもを正確に検知することが可能となる。

子どもの心身状態の乱れを検知した場合、教員版ポータルにアラート通知がいく仕組みになっており、教員が子どもの心身変化をいち早く把握することができる。

また、同サービスには子ども版・教員版の他に行政版のポータルも備えており、子どものポータル利用率や相談件数の確認、アンケート閲覧などの管理も可能。

  • サービスのイメージ

    サービスのイメージ