〈モノの値段をどう設定するか?〉ハードオフ会長・山本善政が考える「値付け」

「はじめに正しい売価ありき」

 ─ 日本では長く原材料高騰、物価高が続いていますが、日頃から消費者と直接向き合っている山本さんはモノの値付け、いわゆる値段設定をどのように考えていますか。

 

 山本 当社には10年くらい前から『会長・社長通信』というのがありまして、トップのメッセージを毎月、社内のイントラネットで発信しています。これは社員だけでなく、フランチャイズの方も見ることができるようになっていて、そこでハードオフの経営理念や行動指針だとか、日頃われわれが思っていることなどを発信しているんですね。

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 そこに『ハードオフ理論30ヶ条』というのがありまして、最初に書かれているのが「はじめに正しい売価ありき」ということです。これは当社のビジネスモデルの根幹にあるものです。

 

─ 第一に正しい売価であると。

 

 山本 ええ。根本的に、われわれの競争相手は誰かといったら、決してリユース業界の同業者ではありません。われわれの競争相手は、あくまでもお客さんの「Wants(ウォンツ)」と「Needs(ニーズ)」です。

 そういう前提に立って考えればご理解いただけると思いますが、要はお客さんの考える値段や相場感を外してはいけないということなんですね。

 例えば、逆に正しくない売価とは何か。それは売れない・売れすぎる、あるいは、買取価格が高すぎる・安すぎるということ。売れない価格設定はもちろんダメですし、売れすぎる価格も困る。こうしたミスがなぜ起こるかといったら、お客さんのウォンツ、つまり、正しい売価からズレているからです。

続きは本誌で