
1889年(明治22年)の創業以来、当社は開拓者精神と創意工夫によって、時代の変化に対応してきました。それは135年余が経った今も変わりませんし、これからも変わらないと思います。
さて、わたしの人生のターニングポイントとなったのは、米国留学中のある先輩との出会いでした。
わたしはとにかく、海外に行きたいということで米国の大学に進学しました。憧れだけで飛び込んだ米国留学で、言葉もまともに話せませんし、いろいろ苦労もありました。
そうした中、銀行口座の作り方も分からず、たまたま飛び込んだ銀行でまごまごしている私を助けてくれたのが、当社の駐在員でした。その時、「困ったことがあったら連絡してきていいよ」と言ってくださり、非常に良い印象を持ちました。
わたしは専攻が土木工学だったので、卒業後はゼネコンに就職したいと思っていました。そこであるゼネコンの試験を受けに行くと、たまたま隣のビルが兼松でした。ひょっとして、あの時お世話になった方がいるのではないかと思い、わたしは会社の門をたたきました。
すると、その方がいらっしゃり、「うちに来いよ」と言っていただき、結局、当社に入社することになったのです。事前のアポイントも無く、追い返されるかと思いきや、受付で通してくれた。今から考えれば、かなり緩い時代でした。
このように、わたしはもともと商社に入りたいわけではなかった。ですが、せっかくのご縁があって入らせてくれた会社です。入ったからには頑張ろうと思いましたし、会社もいろいろな仕事をやらせてくれ、新しい仕事も任せてくれたので、非常に有意義な会社員生活だったと思います。
今は本当に変化の激しい時代となり、特に技術の進歩・発展は目覚ましいものがある。変化が起これば、従来の業界の垣根もなくなるし、新たな需要も出てくると思います。
製造業の場合は既存の工場や設備があるので、なかなか新しいものを取り入れたり、捨てられないというジレンマもありますが、われわれ商社は身軽で捨てるものがありません。なんでも貪欲に取り入れることができるので、今こそわれわれ商社の出番だと思います。
特に、今はオープンイノベーションの時代です。仲間がいないとイノベーションも生まれにくいですが、仲間を集めるのは商社の得意とするところ。その意味でも、商社に対する期待は今まで以上に高まっていると思いますので、今後も時代の変化に対応しながら、お客様のニーズにあったビジネスを展開していきたいと思っています。