
日本郵便がゆうちょ銀行の顧客情報を不正流用した問題で、日本郵政グループ4社は、事前の同意を得ずに勧誘対象にしたことが判明した顧客の数が延べ1千万人弱に拡大したと発表した。これを受け、金融庁はグループ4社、総務省も日本郵政とゆうちょ銀行に対し、再発防止策の報告命令を出した。
村上誠一郎総務相は「保険業法や銀行法に違反するものであり、大変遺憾だ」と批判。金融庁と連携しつつ、健全かつ適正な業務運営の確保を図っていく意向を示した。
グループ4社は、日本郵便の千田哲也社長ら計14人の役員報酬を減額する処分を決定。日本郵政の一木美穂常務執行役が「ご不安やご心配をおかけし、深くおわびする。こうした事態を真摯(しんし)に受け止めて再発防止策を徹底する」と謝罪した。
日本郵便は、ゆうちょ銀とかんぽ生命保険の窓口業務を受託している。これまでにゆうちょ銀の顧客約155万人が、かんぽ生命の保険営業を目的にリスト化されていたことが判明。追加調査で、投資信託の約775万人、国債の約52万人を含む計約843万人が新たに加わった。調査の対象はいずれも2014年2月以降で、実際はさらに多い可能性がある。
この他、調査の過程で、昨年1月に発売した保険の新商品を巡り、販売認可を取得する前に顧客167人に勧誘していたことも発覚。保険業法に違反する行為で、現場への周知が徹底されていなかった可能性があるという。金融庁はゆうちょ銀を除く3社に対し、実態を調査して報告するよう命令した。