Donald Trump(ドナルド・トランプ)政権が設定しているTikTokの米国事業売却期限が4月5日に迫る中、複数の米国企業がTikTok買収に向けて動きを見せている。当初から名前が上がっているOracleに加え、Amazon、モバイルテクノロジー企業のAppLovinなどの企業名が挙がっている。

複数の企業が買収を提案か

AmazonがTikTok買収に向けた最終段階での提案を行い、副大統領のJ.D. Vance氏と商務長官のHoward Lutnick氏宛てにオファーレターという形で提出されたが、交渉関係者はこの提案を真剣に検討していないとNew York Timesは4月2日付で報じている。Amazonはコメントを控えている。

Wall Street Journalは同日付で、AppLovinの提案を報じた。同社はカジノ王のSteve Wynn氏の支援を受けて買収提案を行ったという。そこでは、国家安全保障上の懸念を晴らしつつ、雇用創出という経済成長の側面もあるというものだったという。

AppLovinはアプリユーザーのデータを収集して広告を調整するAIを持つことから、次のTikTokになるというアナリストの指摘も紹介している。トランプ大統領は4月3日、TikTokの運営継続を可能にする枠組みについてブリーフィングを受ける予定だと報じている。

Financial Timesは投資家グループが分け合う形での買収になるという予想を紹介している。そこでは、Blackstone、Andreessen Horowitzといった新規投資家グループが米国事業の約50%、General Atlantic、Susquehanna、KKR、Coatueなどの既存投資家が約30%、残る20%未満の株式についてはByteDanceが維持する想定だという。

投資家グループの買収案については、Wall Street Journalもトランプ政権が話し合いを持ったと報じている。同紙は「トランプ政権は、大統領選勝利に貢献したTikTokを維持しつつ、国家保安の懸念も露わにしている」と記している。

TikTokを巡ってはこれまで、Oracleと既存の米国投資家グループがTikTok親会社のByteDanceに対して、共同買収オファーを行う計画を検討しているという報道がある。Oracleはここで、TikTokの米国データを保護する役割を担うと言われている。プライベートエクイティ企業のSilver LakeとBlackstoneも取引への参加を協議しているという。買収成立には中国政府の同意も必要になると言われている。