
「業界5位でも他社にはない主力3ブランド業態を展開していることが強み。それぞれの業態の独自性を伸ばす」
1000店舗を超えるコーヒー業界首位のスターバックスコーヒーや2位のドトールコーヒーなど主力業態が1~2ブランドに特化するケースが多い中、1970年の「珈琲館」の創業以来、M&Aで規模拡大を図り、足元では約560店舗を展開。
ビジネスマンが出入りしやすい「カフェ・ベローチェ」や注文を受けてから豆を挽いて提供する珈琲館、新鮮な果物を使ったスムージーなど女性向けの食事に特徴を持たせた「カフェ・ド・クリエ」など特色を出す。「人材育成のシステム構築に5年かけた」ことも奏功し、2019年比で利益は約5.3倍に。
26年にブランド誕生から40周年を迎えるベローチェを筆頭に、今後は店舗数の拡大を図る。30年までにグループで1000店舗規模に拡大することを視野に、初のフランチャイズチェーン店の展開も始める。主に駅から少し離れた「1.5等地」に立地していたが、3月から1等地の駅前や住宅地、北海道や四国といった未出店エリアにも積極的な出店を計画する。
さらに珈琲館については、インドなどを念頭に海外展開も検討していく。3月には京都市内で新型モデル店を開店。コーヒーの生豆の配合から焙煎、梱包までを手掛ける焙煎所も併設し、「京都ブレンド」としてインバウンド客に照準を当て、「日本のコーヒー文化を海外でも展開したい」と意気込む。
競争は厳しい。コンビニエンスストアも淹れたてコーヒーに力を入れており、原価が約4倍になったコーヒー豆などの原材料の高騰を受け、「値上げしても追いつかない」という状況が続く。だが、食事のラインナップの拡充や作業に適したテーブルなどの導入で「お客様に繰り返し使ってもらえる街の財産となる店を目指す」と力を込める。
日本マクドナルドやモスフードサービスなど外食業界で研鑽を積む。「(マクドナルド創業者の)藤田田さんと一緒に仕事できたことは財産」と胸を張る。