
国土交通省は、地方自治体が管理する空港が災害で被災した際、国が復旧工事を迅速に代行できる制度を創設する。能登半島地震で石川県が管理する能登空港の再開までに時間がかかったことを踏まえた措置。また、羽田空港での航空機衝突事故を受け、滑走路への誤進入対策を強化する。今国会に空港法や航空法の改正案を提出し、成立を目指す。
現在、大規模災害復興法に基づき政府が「非常災害」に指定すれば、被災自治体が管理する空港の復旧工事を国が代行できる制度がある。昨年1月1日の能登半島地震では、石川県が能登空港の応急復旧を実施し、同27日に民間航空機の受け入れを再開した。国が非常災害指定後に本復旧を代行すると発表したのは、発災から1カ月後の2月1日だった。
災害対応に追われる被災自治体を国が迅速に支援し、早期の空港再開を図るため、代行に関する新たな制度を設ける。自治体からの要請があった場合、国が自治体に代わって空港の復旧工事を実施できるとする規定を空港法に盛り込む。都道府県などが管理する約60の空港が対象となる見込み。
航空局の担当者は「現在は非常災害に指定されないと復旧を代行できない。法改正により、指定を待たずに国が迅速に対応できるようになる。また、非常災害指定の対象とならない災害でも自治体を支援することができる」と意義を強調する。
昨年1月2日に羽田空港で日本航空と海上保安庁の航空機が衝突した事故を受け、再発防止のため航空法も改正する。空港管理者に対して滑走路への誤進入を防ぐための対策を義務付け、国が定期的に検査。滑走路手前の停止線やパイロットに注意喚起する灯火の視認性確保といった適切な管理につなげる。パイロット間の意思疎通に関する訓練は全てのパイロットに義務付ける方針だ。