Coltテクノロジーサービスは3月19日、説明会を開催し、事業戦略、低軌道(LEO)衛星通信と4G/5G無線通信を統合した新しいマネージド・サービス、プロダクトロードマップなどを紹介した。

英Coltテクノロジーサービス アジア太平洋地域社長 水谷安孝氏は、3月に大西洋横断海底ケーブル「Apollo South」が、ニュージャージー州ジャージーショアのNJFXプレミアム・コネクティビティ・ハブに直接接続し、米国の中心地とヨーロッパにおけるColtのデジタル・インフラを接続したことを紹介し、「着実に海底ケーブルからのデータセンターまでの回線に対し投資している状況」と説明した。

  • 英Coltテクノロジーサービス アジア太平洋地域社長 水谷安孝氏

また水谷氏は、「日本に対する投資はグローバルでも注視されている。ヒアリングする中で日本じゃAIの投資の規模が群を抜いているという声が上がっており、投資するマーケットの広報として日本が上がってくるのではないか」との見方を示した。

顧客のタイプに合わせてサービスを提供

水谷氏は、同社の顧客は2つに分けられ、それぞれのニーズに合わせてサービスを提供すると述べた。

1つ目の顧客のタイプは、ネットワークを事業の核としており、社内で管理する傾向がある企業だ。以下の図では左側のタイプの企業だ。これらの企業はColtに対し、詳細な情報を求めるという。そのため、インフラを軸にしたアプローチをとる。

2つ目の顧客のタイプはネットワークを最低限のクオリティでよいと考えており、いわばサービスとして使いたいと考えている企業だ。社内にネットワークスペシャリストがおらず、ネットワークはアウトソースしたいと考えている。こうした企業にはSASEのようなソリューションを提供する。

  • Coltテクノロジーサービスの顧客別のアプローチ

戦略の柱は「統合」「簡素化と自動化」「成長」「ワンチーム」

また、水谷氏は「これまではAIが使えるかどうかが課題だったが、現在はAI活用に向けてセキュリティを強化したいといった流れになっている」と述べ、顧客の課題が変わってきていると指摘した。

生成AIに関しては、企業でカスタマイズできる状況になっていることから、ネットワークはColtに任せて、自社ではトレーニングなどに注力したいと考えている企業が増えているという。

加えて、国際化にあたり、各国で事情が異なることから、「Coltの現地の従業員から情報をあげてもらって、自国から統合管理したい」といったニーズも出てきているとのことだ。

こうした状況から、企業はAIやクラウド、複雑になってきたシステムに連携するネットワークを求めており、「Coltのネットワークがミートする」と水谷氏は述べた。

水谷氏は今年の戦略の柱として、「統合」「簡素化と自動化」「成長」「ワンチーム」を挙げ、「人の配分も含めて、Lumenのビジネスを統合していき、ワンチームとして固めていく」と語っていた。

  • Coltテクノロジーサービスの事業戦略

注目のソリューションはNaaS、アクセス・アグリゲーションサービス

続いて、英Coltテクノロジーサービス インフラストラクチャ及び接続性ソリューション担当バイス・プレジデント ピーター・コペン氏が同社のソリューションについて説明した。

  • 英Coltテクノロジーサービス インフラストラクチャ及び接続性ソリューション担当バイス・プレジデント ピーター・コペン氏

コペン氏は、「AIの影響でデータセンターが増えている。東京、大阪だけでも、AWS、マイクロソフト、オラクルが1年間で200億ユーロ以上投資すると発表している。これはColtとしてビジネスチャンス」と語った。

コペン氏は同社のソリューションの一つであるNaaSについて説明した。ガートナーはNaaSの要素について、「標準化&高度な自動化」「顧客企業によるセルフサービス(ポータル、API利用)」「ダイナミックな帯域増減」「サブスクリプション型または従量制課金」「NaaSプロバイダーがすべて所有・運用」と定義している。

Colt NaaSでは、クラウド、 DC&一部のオフィスビルでは見積もり、可用性確認、発注、導入、アップグレード/ダウングレード、課金すべてがリアルタイムでできる。ほとんどのColt オンネット・ビルにおいては導入のみマニュアルとなる。

また、Coltは380社を超えるEthernet/IPアクセスパートナーを抱えており、アクセス・アグリゲーションを提供している。今年2月には、低軌道(LEO)衛星通信と4G/5G無線通信を統合したマネージド・サービス「Managed LEO+」が発表された。

日本やほとんどのAPAC諸国で利用可能で、当初はインターネットアクセスに限定されるが、SD WANアンダーレイも利用可能になるという。

そのほか、主なネットワーク拡張計画として、「東南アジア6カ国における 事業拡大」「西日本における自社ネットワーク拡張」「シドニー都市部ネットワーク拡張」が紹介された。