
経済産業省はこのほど、企業による人工知能(AI)の利活用を促すため、AI開発企業や関連サービスを提供する事業者と契約する際の留意事項をまとめたチェックリストを新たにまとめた。生成AIを事業に活用する企業が増える中、提供データの利用目的や第三者への提供の有無といった契約時に確認すべき内容を記載。自社データの意図しない形での利用などを防止する。
チェックリストは、企業が汎用的なAIサービスである米オープンAIの対話型AI「チャットGPT」や米マイクロソフトの生成AI「コパイロット」などを業務に利用する際の契約時や、自社の業界に特化した独自のAIシステムやカスタマイズしたサービスを開発、利用する際などに活用してもらう。
企業が提供する学習用データなどの「インプット」と、サービス提供事業者が出力したAIによる生成物といった「アウトプット」に関して、それぞれ6項目のチェックすべき内容をまとめた。
インプットの項目では、利用企業が自社データなどを提供する義務を負うかや、開発企業側のデータ管理の義務内容、第三者提供する場合の提供先や範囲などの条件の確認を促す。アウトプットについては、利用企業側がAIの生成物を第三者に提供できるかや、知的財産権などの権利の帰属に関するチェック事項を設けた。
読者は企業の法務やビジネス部門の担当者、顧問弁護士などを想定。契約条項を具体的に検討する際や、契約について初期的な検討を行う場面での活用を想定する。経産省は昨年10月に有識者検討会を立ち上げて、チェックリストの作成を進めてきた。活用を通じて利用企業とAIサービスの開発・提供企業との間で、適切な利益やリスクの分配につなげてもらう。