米IBMは2月25日(現地時間)、AI、データ管理ソリューションを提供するDataStaxの買収意向を発表した。買収によりIBMのオープンソースAIへの取り組みを強化する。

DataStaxの概要

DataStaxは2010年に設立され、米国カリフォルニア州サンタクララに本社を構え、Apache Cassandraを基盤にしたNoSQLおよびベクトルデータベース機能を提供する「AstraDB」や「DataStax Enterprise」を開発し、AIアプリケーションをローコードで構築するためのオープンソースツール「Langflow」を提供している。

生成AIを支えるためには非構造化データの活用が必要不可欠になっており、DataStaxのベクトルデータベースは非構造化データの活用と迅速な価値実現に優れているという。また、Langflowは生成AIアプリケーション向けのグラフィカルでローコードな設計環境と、複数の機能や要素を効率的に組み合わせて動作させる仕組み(コンポーネントオーケストレーション)を提供している。

AstraDBとDataStax Enterpriseは、Apache Cassandraを基盤にしたNoSQLおよびベクトル・データベース機能を提供し、本番環境でのエンタープライズ向け生成AIアプリケーションの利用を可能とする。

AstraDBは、データレイクハウス「IBM watsonx.data」の既存のベクトルデータベース処理機能を強化し、AIや分析のためのデータ活用を支援。また、Apache Cassandraは拡張性、可用性、耐障害性、高いパフォーマンスに加え、複数のデータセンターやハイブリッドクラウドをサポートしていることから、ソフトウェア、小売、金融、eコマース(電子商取引)などさまざまな業界の企業で採用されている。

Apache Cassandraを利用する企業では、AIワークロード向けに活用するケースが増加しており、DataStaxはベクター、グラフRAG(検索拡張生成)機能を備えた高度なデータストアを提供している。

Langflowは、RAGおよびマルチエージェントAIアプリケーション向けのオープンソースのローコードアプリケーションビルダーであり、モデル、API、データベースに依存しないPythonベースの設計となっている。同ツールは「IBM watsonx.ai」に柔軟なミドルウェア機能を追加し、生成AIアプリケーションの開発を加速することで、統合されたエンドツーエンドのAI開発スタジオとしての機能を強化する。

なお、買収は慣習的な取引完了条件および規制当局の承認に従い、2025年第2四半期に完了を予定している。