トレンドマイクロは3月4日、アンダーグラウンドの最新動向を分析した「英語圏サイバー犯罪アンダーグラウンドの現状・2025」を公開した。
2015年の調査時にアンダーグラウンドで最も頻繁にやり取りされていた商品は麻薬だったが、現在ではイニシャルアクセスブローカー(IAB)とも呼ばれている、侵入経路の販売サービス(AaaS、Access-as-a-Service)が50.2%を占めるまで拡大していることが明らかになった。
ジェイルブレイク版のChatGPTを販売
ChatGPTやその他のGPTツールは、違法・有害・論争的な話題に対する応答を制限するセーフガードが組み込まれている。しかし、アンダーグラウンドコミュニティでは、この制限を回避するジェイルブレイク版ChatGPTを作成・発見・共有するグループが存在するという。
2023年以降、「WormGPT」「DarkBARD」「EscapeGPT」などのジェイルブレイク版GPTが登場しており、これらのジェイルブレイク版は無料版・有料版の両方が流通しているとのことだ。
加えて、ChatGPTはコンテンツ作成やSEOサービスの分野でも悪用されている。アンダーグラウンド市場では、こうしたサービスがパッケージ販売や、AI生成ページの単価制などの形態で売買されている。
不正に入手したと思われるChatGPT、FlowGPT、Perplexity、Claudeなどの正規サービスのアカウントも月額3米ドルから販売されているという。
AIを活用したソーシャルエンジニアリングサービスを販売
AIを活用したコンテンツを含むソーシャルエンジニアリングサービスも、アンダーグラウンド市場で販売されている。
トレンドマイクロは注目される手口として「Ewhoring」を挙げている。この手口では、詐欺師がオンライン上で仮想的な恋人やパートナーを装い、写真、動画、または性的な会話の対価として金銭を要求する。
英語圏やロシア語圏のフォーラムでは、複数の人物になりすました画像、動画、ディープフェイク素材が詰め込まれた「Ewhoringパック」が販売されているという。これらのパックは複数の女性をまとめたセットのほか、モデルごとに提供される。パッケージには、写真、動画、音声、セルフィーなどが含まれ、価格は約25米ドルからとのこと。