KDDI、KDDI総合研究所、ジャパンディスプレイ(JDI)は2月28日、電波の反射方向・範囲を変更できる可搬型のミリ波(28GHz帯)用液晶メタサーフェス反射板(液晶反射板)を開発し、ミリ波の電波が届きにくい屋外のビル間に電波を反射させてエリア化する実証を同月25日に成功したと発表した。

また、低消費電力という特徴を生かし、汎用品の太陽光パネルとバッテリーで、液晶反射板が駆動することも確認したという。

実証は2024年12月21日から2025年3月31日の期間で実施された。

  • 屋外に設置された液晶反射板

    屋外に設置された液晶反射板

実証概要

今回の実証では「実環境で28GHz帯のミリ波を反射させるために必要なサイズの可搬型液晶反射板を開発」「液晶反射板の設置位置と液晶に印加する(特定の電圧や電流を回路や素子に加える)電圧分布のシミュレーションを実施」「液晶反射板を使って、商用のミリ波電波をビルや建物の遮蔽で電波が届きにくい場所へピンポイントに反射させ、狙った場所に電波が届くことを確認」「太陽光パネル・バッテリーによる給電で液晶反射板が駆動することを確認」を実施した。

  • 実証結果(液晶反射板の設置前後の比較)

    実証結果(液晶反射板の設置前後の比較)

実証の結果から、液晶反射板を活用することで人の往来や通路の幅に合わせて柔軟にミリ波のエリアを構築することが可能となる。また、低消費電力という特徴を生かし、太陽光パネル・バッテリー給電での駆動を確認できたため、屋外のイベント会場などでの活用にも期待できるという。

今回の結果により、ビルや建物の遮蔽で電波が届きにくい場所や、人が密集するイベントでも柔軟にミリ波を届け、高速で安定した大容量通信を顧客に提供することが期待できるという。3社は今後、液晶反射板の実用化に取り組んでいく。