NECは2月28日、同社が開発した地上型衛星航法補強システム(GBAS)が1月23日より東京国際空港(羽田空港)にて正式運用が開始されたことを発表した。

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    GBAS機材

GBASの概要

GBASは、GPS(全地球測位システム)を利用して航空機の進入着陸を支援する着陸誘導システム。地上から電波により着陸まで誘導する既存の計器着陸装置(ILS)と同様の精度を有するもので、GPSによる測位の精度や安全性を保障するための補強情報を地上で生成・放送することで、航空機の安全な進入着陸を支援する。

また、複数の滑走路や双方向での着陸に対応するためILSでは地上に複数の設備が必要であることに対し、GBASでは一式で対応可能。同システムの導入により整備・運用コストの低減につながることも期待されている。

航空業界では、年々増大する航空需要に対応するため、安全な運航を確保しつつ、経路の短縮など航空機の運航効率の向上に向けた取り組みが求められている。

この観点から、デジタルデータによる進入経路の情報を航空機へ提供するGBASが国際民間航空機関International Civil Aviation Organization(ICAO)で国際標準として規格化され、その導入が国際的にも求められている。

こうしたなか、国土交通省航空局でもGBASを活用した航空機運航に取り組んでおり、NECが当局より「GBAS-16型GBAS装置1式の製造」を受注・納入し、羽田空港での正式運用の実現に至った。

今後の展望

NECは独自技術および電子航法研究所が有する特許を活用することにより電離圏の影響を受けにくいGBASを開発しており、電離圏変動の影響を受けやすい磁気低緯度の地域においても測位の誤差を抑制することが可能になる。

今後、NECは国が進めるインフラシステム海外展開戦略と軌を一にして、東南アジアや中東地域などを含む世界各国の空港へGBASを展開していきたい構え。