TISは2月27日、TISが出資するインドネシアのPT Aino Indonesiaが、インドネシア標準QRコード「QRIS(Quick Response Indonesia Standard)」のNFC(Near Field Communication)対応(QRIS Tap)プロジェクトに協力のうえ、同プロジェクトが3月14日よりインドネシアの公共交通機関において開始予定であることを発表した。

また、この機能はTISとAINOが共同開発した交通決済パッケージである「Acasia2.0」にも搭載される。Acasia2.0は、ICカードやモバイルQRコードを利用して公共交通機関利用時のキャッシュレス決済導入を支援するサービス。

取り組みの概要

AINOは今回、インドネシア中央銀行ならびにASPI(インドネシア決済システム協会)とともにQRISのNFC化開発に取り組み、QRコード画面を改札で読み取ることなく、スマートフォンを改札にかざすだけで決済を完了できる仕組みを構築した。

インドネシアでは、QRコードを使った公共交通機関の決済が一般的に利用されているものの、スマートフォンに表示されたQRコードがスムーズに読み取れないケースが多く、QRコードの生成から改札の通過までに最大8秒を要することが交通の流動性を妨げる要因となっていたという。

これをNFC対応にすることで、読み取り精度が飛躍的に向上し、処理時間を1秒以内に短縮できることから、改札での混雑緩和や交通の流動性向上が期待されている。

  • 提供イメージ

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TISは2018年にAINOと資本業務提携を行い、複数の交通機関をまたぐルート検索や予約、ICカードおよびモバイルQRコードによる決済が可能な交通決済パッケージである「Acasia」を共同開発した。

AINOは駅改札またはバス車載端末で利用者のスマートフォンからNFC方式で決済情報を読み取り、電文をQRISフォーマットに変換する。その後、運賃情報を付加し、マルチアクワイアリング機能を搭載したAcasia2.0 Payment Gatewayモジュールを通じて、アクワイアラーへ決済データを連携する。

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今後の展望

今後は、2025年1~3月にかけて、Medanをはじめとした複数の都市で、一部のユーザーおよび路線における実証実験を実施予定。その後、2025年度中には、15都市で運輸省と交通省が運営するBRT(バス高速輸送)サービスでの一般展開を予定している。

また今後とも、Acasia2.0のさらなる利便性向上をTIS、AINO共同で推進するとともに、同様の課題を抱えるASEAN他国への展開を目指していきたい構え。また、交通決済プラットフォームに集約される高品質なビッグデータを活用した交通・都市マネジメント市場へのサービス開発を推進していくとしている。