三菱電機は2月25日、システム操作ログからオペレーターの暗黙知を可視化・共有することで、システムの運転管理・維持管理を高度化するDXシステム開発に活用できる「操作ログドリブン開発技術」を開発したと発表した。この開発成果の詳細は3月3日開催の「INTERACTION 2025」にて紹介される。

  • 操作ログを活用した DX システムの開発イメージ

    操作ログを活用した DX システムの開発イメージ

現代社会では、少子高齢化や労働力不足、技術継承の難しさが大きな課題となっている。公共インフラの運転管理においては、各種センサーから送られる大量の信号を監視・制御し、異常時には迅速な対応が求められる。しかし、機器の故障や異常気象などにより異常が発生した際は、早期に要因を特定し対応策を講じる必要がある一方、その対応はベテランオペレーターや専門家の経験に依存するケースが多い。人口減少や気候変動に伴う異常気象の増加、施設の老朽化が進む中、これらの経験や知見に基づくノウハウをデータとして蓄積し、運転管理・維持管理を高度化するDXシステムの実現が急務となっている。

これまでのDXシステム開発では、初期段階にオペレーターや専門家へのヒアリングで要求分析を行うものの、ヒアリングだけでは操作の実態やオペレーター自身が気づかない暗黙知を十分に把握できず、オペレーター全員に聞くには時間がかかることから、包括的な情報収集が困難であるという課題があった。

今回、三菱電機が開発した「操作ログドリブン開発技術」は、システム画面に表示される数百に及ぶ信号の中からオペレーターが実際に注視している情報を抽出し、時系列データとして可視化するもの。

設備センサーから得られる多数の信号の中で、オペレーターがシステム画面に表示する信号を時系列に抽出するとともに、同時に参照される信号の組み合わせや順序の関連性に基づいて、教師データを必要としないAIが同一目的の操作フェーズを自動的に抽出・可視化。また、抽出された操作フェーズから操作手順やオペレーションスタイルの違いを独自のAIで比較・分析し、世界初となるベテランと初心者の違いの可視化を実現している。

  • 操作ログの可視化例

    操作ログの可視化例

三菱電機は2025年度より実証試験を開始し、2027年度からは公共インフラシステムでの実用化を目指す。また、システム操作ログから抽出したノウハウを運転員や保守員など、公共インフラ運営関係者と共有可能なDXシステムの開発に活用することで、高度な運転管理および維持管理の実現に寄与する。さらに、将来的には製造業、医療、物流、建設など他業界への応用も視野に入れ、独自のデジタル基盤「Serendie」と連携してあらゆるオペレーションの高度化を図るソリューションの創出を目指すとしている。

  • 従来と今回開発した操作ログドリブン技術との DX システム開発工程の比較

    従来と今回開発した操作ログドリブン技術との DX システム開発工程の比較