澤田千尋・コムチュア社長「常に新しい領域に取り組み、お客様の売上や利益貢献につながるソリューションを」

常に新たな取り組みに挑戦!

 ─ 今年1月、創業40周年を迎えたコムチュアですが、まずはこの40年という節目を迎えた現在の心境から聞かせてもらえますか。

 澤田 当社は1985年の設立以来、お客様のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進と課題解決を通じた高付加価値サービスの提供によって成長してきました。  創業当時はバブルの真っ最中で、いろいろな企業がどんどん情報化を推進していった時代でした。

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 例えば、大型のコンピューターを導入したり、社内LAN(構内情報通信網)などのネットワークを整備していった。そういうタイミングでしたので、当社のようなシステム開発会社が沢山できていったみたいなんですね。

 それこそ雨後の筍のような状態でどんどん会社が設立されていったのですが、一説によると現在も残っている会社は3千社に1社くらいの確率だと言われています。

 ─ それくらい淘汰の激しい業界であると。

 澤田 ええ。ですから、厳しい状況の中で、環境の変化に合わせて成長を続けてきたのが当社だったということですね。

 ─ では、その生き残ることができた理由は何だと考えますか。

 澤田 一つは、固定しているお客様やどこかのお客様に依存するような会社ではなかったということです。

 バブル崩壊もありましたし、ITバブルの崩壊やリーマンショックなど、今まで何度も苦しい時はありました。そうなると、その都度、踊り場を迎えるわけです。

 ただ、いつの時代にも業績の良い会社と悪い会社はあるわけで、いつの時代にも当社はお客様から求められる事業やサービスを開拓できていた。

 当社は、どこか1社のお客様とのお取引がなくなったら潰れてしまうというような経営体制ではなく、非常に幅広く、様々な業種のお客様とお付き合いさせていただいていることが、功を奏しているのだと思います。

 ─ バランスの取れた顧客構成になっていると。

 澤田 そうです。しかも、グローバルに事業を展開している企業が多く、グローバルに通用するソフトウェアやクラウドサービスを使っていかなければならない。

 そういうことで製造業、金融業、流通業など、様々な業界とお取引させていただいておりますが、いずれもグローバル展開されている大企業が多いのも特徴です。

 もう一つは、今お話ししたこととも重なるんですが、われわれのやっている事業が比較的古いレガシーのようなものではなくて、同じ情報サービス産業の中でも新しい技術を次々にやってきたということです。

 最近でいうとクラウドやDXがそれにあたると思いますが、その時々で時流に乗った内容を展開してきた。時代、時代で新しいことを常にチャレンジしてきたことが大きいですよね。

 ある意味で不況に強いとか、何度か苦しい時代を乗り越えることができたというのは、そうしたチャレンジ精神があったからこそ成長できたのではないかと思います。

日本IBM、NECを経て コムチュアで新たな挑戦を

 ─ 前期(2024年3月期)まで、売上高は14期連続、営業利益は13期連続で増加するなど、過去最高を更新しています。今期も最高益を更新する見通し(売上高377億円、営業利益49億円)ですが、常に新しい分野にチャレンジしてきたことが、現在の好業績につながっているわけですね。

 澤田 ええ。当社の自慢の一つは、創業以来一度も赤字になったことがないんですよ。

 これはわたしというよりも、創業者(故・向浩一氏)の存在が大きいです。非常に立派な管理手法で、絶対に損を出さないというか、赤字を出さない経営をずっとしてきて、なおかつ、然るべきところにはきちんと投資していく。強いリーダーシップを持って、会社の中に優れた仕組みを残していってくれたことが何より大きいと思います。

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