MODEとキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)およびセーフィーの3社は2月12日、キヤノンMJとセーフィーが総額約8億円のMODEの第3社割り当ての一部に応じる形で資本提携(出資額は非公開)し、業務提携を行うと発表した。

これにより、3社は映像データとセンサー データのリアルタイム統合により、生成AIを利用しながら現場の課題解決を実現する次世代ソリューションを提供する。

  • 提携内容(出典:MODE)

    提携内容(出典:MODE)

3社は、高齢化と少子化の進行により、今後生産年齢が減少していく「8掛け社会」の到来に向け、業務の生産性向上を目指す現場DX(デジタルトラスト)を推進する。

  • 提携を発表した3社の代表。左からセーフィー 開発本部兼CTO森本数馬氏、MODE Co-founder 兼CEO 上田学氏、キヤノンマーケティングジャパンソリューションデベロップメントセンター センター長 寺久保朝昭氏

    提携を発表した3社の代表。左からセーフィー 開発本部兼CTO森本数馬氏、MODE Co-founder 兼CEO 上田学氏、キヤノンマーケティングジャパンソリューションデベロップメントセンター センター長 寺久保朝昭氏

BizStackと映像のシナジーを醸成

MODEはIoT技術を使い、現実世界のさまざまな機器やセンサーからデータを収集してクラウドに集約し、分析、可視化、アラート表示などが行えるIoTプラットフォーム「BizStack」、「BizStack」のデータをTeamsやSlack、directなどのチャットインタフェースで確認できる「BizStack Assistant」を提供している。

両製品は、センサーでキャッチした内容を映像で確認し、さらに生成AIを活用することで、現場状況をリモートで把握する用途での利用が広がっている。

  • 「BizStack Assistant」(出典:MODE)

    「BizStack Assistant」の概要(出典:MODE)

今回の提携の目的について、MODE プロダクトマネージャーの渡邊飛雄馬氏は、次のように説明した。

「Bizstackはデータを構造化しており、ショベルカーについて『どこにいる』『どれくらい稼働している』『誰が乗っている』『カメラ映像はどうなっている』といったことをまとめて保存できます。これにより、ビルの温水ポンプで漏水が発生したことがわかったとき、10分前だったらその時点の映像を出して、トラブルを解決できます。MODEは数多くの映像データをソースとして連携できるので、キヤノンマーケティングジャパン様やセーフィー様がお持ちの映像データの活用の幅を広げていく、そんな提携のシナジーを考えています」

  • MODE プロダクトマネージャー 渡邊飛雄馬氏

  • BizStackと映像のシナジー(出典:MODE)

    BizStackと映像のシナジー(出典:MODE)

キヤノンMJとMODEの提携内容

キヤノンMJとMODEの提携では、キヤノンMJの顧客基盤ならびにマーケティング力を活用した「BizStack」の共同提案、両社の映像ソリューションの連携開発ならびに特定業種向けの「BizStack」の機能開発を行う。

キヤノンMJ ソリューションデベロップメントセンター センター長 寺久保朝昭氏は、今回のMODEとの提携には、販売提携と開発提携の2つの側面があると語った。

販売提携においては、製造業、流通小売、ファシリティ・ビル管理、建設・土木現場、社会インフラの各市場の顧客基盤に、セーフィーやMODEのソリューションを掛け合わせて、システムインテグレーションをしながら提供したり、汎用性の高いアプリケーションを一緒に作ったりする。

開発提携においては、キヤノンMJの映像系ソリューションやエンタープライズ向けのクラウドソリューションとのつなぎの部分を一緒に開発していく。

「映像ソリューションとIoT、生成AIが現場の課題解決力を大きく広げると思っています。『見る』『撮る』ためにカメラを導入するお客様は増えてきましたが、これからは、それを活用するお客様が増えていくと肌で感じています。創業からのカメラからつながる工学技術をベースとしたソリューションで、お客様の期待を超えるものを提供していきたいです」(寺久保氏)

  • キヤノンMJが3社の提携によりソリューションを提供したいマーケット(出典:キヤノンマーケティングジャパン)

    キヤノンMJが3社の提携によりソリューションを提供したいマーケット(出典:キヤノンマーケティングジャパン)

センサーデータと映像の連携で、課題解決の領域を拡大

一方、セーフィーは、IPカメラを中心としたさまざまなデバイスをクラウド経由で管理し、エンドユーザーに録画データ、映像データのほか、その映像から抽出した各種情報を提供している。同社は今回のMODEとの提携により、映像だけでは解決できない課題解決に取り組む。

セーフィー 開発本部兼CTO森本数馬氏はこの点について、次のように説明した。

「当社のデータを活用してさまざまな業界のお客様の課題解決を促進したいと思います。業界によって課題もさまざまです。いろいろなパートナーと協力して、多面的に課題を解決したいと考えていますが、すべての課題を映像データで解決することはできません。映像データをセンサーデータと連携することによって、解決できる課題の領域を広げたいと思います。また、センサーデータで注目すべき映像を絞り込んだり、時系列でセンサーデータを分析することによって、従来の画像解析の技術では検知できなかった示唆を得たりといった可能性もあると考えています」

  • MODEを含めたセーフィーの他サービスとの連携可能性(出典:セーフィー)

    MODEを含めたセーフィーの他サービスとの連携可能性(出典:セーフィー)

MODEはこれまで主に建設・土木、社会インフラといった業種にBizStackを提供してきたが、今回の提携により業種の拡大を狙っている。

MODE Co-founder 兼CEO 上田学氏は、その狙いを会見の中で、次のように述べた。

「BizStackやBizStack Assistantは、機能というより汎用技術になります。これまでは建設・土木用途にリソースを注いできましたが、それ以外の分野にも広げていきたいと思っています。キヤノンマーケティングジャパンさんやセーフィーさんと、建設・土木以外の分野のソリューションを作り、展開を加速していこうと考えています。映像のデータは録画されていますが、人間が見なければいけないところは宝の山に見えます。これを開放することにより、現場の方にとってバリューのあるデータに変えていくことに取り組んでいきます」