ExtremeTechは2月6日(米国時間)、「Congress Moves On DeepSeek AI Ban|Extremetech」において、米国の下院議員がすべての政府デイバスを対象にDeepSeekの使用を禁止する法案を提出したと伝えた。

これは中国を拠点とするAI開発企業「DeepSeek」が、中国の国営通信会社にユーザーデータを送信している可能性があるとの報告を受けて提出されたもの。

  • Congress Moves On DeepSeek AI Ban|Extremetech

    Congress Moves On DeepSeek AI Ban|Extremetech

DeepSeekの急激な市場拡大と懸念

中国企業により開発されたAIチャットボット「DeepSeek」は安価な価格設定と、OpenAIに匹敵する性能が話題となり、瞬く間にユーザーが急増した。欧米のアプリストアでは無料チャットボットアプリのダウンロード数1位になるなど、世界中で利用者が増加している。

しかしながら、DeepSeekは規約で中国国内の法律に従う(準拠法)と明記し、また、サーバを中国国内で管理していると推測されることから、中国政府や中国国有企業の影響が懸念されている。すでに世界中の政府から調査の対象となっており、先日イタリア政府はその不透明さを理由にDeepSeekへのアクセスを遮断した。

米国の動き

2月6日(米国時間)、米国の下院議員Josh Gottheimer氏は「No DeepSeek on Government Devices Act(政府デバイスにおけるDeepSeek禁止法)」を提出した。この法案は米国行政管理予算局(OMB: Office of Management and Budget)に対し、60日以内に連邦政府のデバイスから安全かつ効果的に(DeepSeekアプリを)削除する方法について、政府職員向けガイドラインを作成するよう求めている。

Josh Gottheimer氏は民主党議員ということもあり、共和党が多数を占める現在の米国議会で可決されるかは不透明とされるが、対中国で結束し可決される可能性はある。また、ExtremeTechによると上院議員のJosh Hawley氏が「中国国内で米国人がAIを向上させることを犯罪とする法案」を提出したという(参考:「(PDF) Decoupling America’s Artificial Intelligence Capabilities from China Act of 2025」)。

この法案が可決されると、米国内でDeepSeekを使用しただけでも中国に学習データを提供したとして罪に問われる可能性がある。最高刑は20年の拘禁刑(imprisonment)とされ、AIを使用しただけで非常に重い罪に問われることになる。

米国に限らず世界中でDeepSeekを締め出す動きが確認されており、中国政府は強く反発している。しかしながら、過去の個人情報保護や人権への姿勢を考えると、この流れは変わりそうにない。ExtremeTechはDeepSeekが自由に運営される時代は終わりそうだとして、早くもその終焉を予感させている。