神戸市とNECは1月22日、自治体業務における生成AIの活用に向けて協定書を締結し、神戸市役所で活用検証を開始したことを発表した。なお検証期間は、2025年1月~3月末で予定されている。

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    実証のイメージ

実証の概要

神戸市では全国初となる包括的なAIに関する条例「神戸市におけるAIの活用等に関する条例」を制定し、AIの安全な活用のためのルール整備を行うとともに、市民サービスの向上を目指して庁内業務における積極的なAI利活用を推進している。

生成AIにはハルシネーションと呼ばれる正確性や信頼性の問題があり、特に専門性の高い業務においては活用が難しいとされている。

これらの課題を解決するため、専門的な業務に適応させた生成AIシステムを構築する取り組みが求められており、NECでは業界に先んじてこれを構築・提供することでノウハウを蓄積してきた。今回の取り組みでは、職員の業務効率化を目的に、NEC開発の生成AIである「cotomi」などを用いて自治体行政分野に特化した実証を行う。

今回の実証では、LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)とRAG(Retrieval Augmented Generation)と呼ばれる文書検索技術を組み合わせた手法を用いたシステムに、神戸市の業務データを学習させることで、庁内問い合わせ対応業務での国産生成AIの有効性やハルシネーション対策機能の有用性を検証する。

また、AIエージェントと呼ばれる、AIが自律的な判断を行いながらタスクを遂行するプログラムを用いて、文書作成業務の効率化が可能か検証を実施する。

検証内容

具体的な検証内容としては、庁内問い合わせ対応業務において、全職員が関係する制度やシステム操作など、庁内からの問い合わせに対応するRAGを用いたアプリケーションを構築。さらに国産生成AIの有効性やハルシネーション対策機能の有用性を検証し、庁内問い合わせ対応業務の効率化を目指す。

また文書校正業務において、行政文書や広報文を作成する際の校正作業を補助するため、AIエージェントを用いたプログラムを開発。文書作成規則等を踏まえた校正作業での生成AIの有効性を検証し、文書作成業務の質向上と効率化を目指す。

上記の通り、神戸市は、同実証で庁内業務におけるハルシネーション対策機能を備えた国産生成AIの有効性を検証することで、行政事務の質の向上と効率化を目指すとともに、将来的な市民サービスの向上につなげていく構え。また、NECでは、実証の結果をもとに自治体向けの生成AIを活用したソリューションの実用化を目指す。