リコージャパンは1月15日に、顧客のAI活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するソリューションやサービスを体験可能な共創の場として、「RICOH Smart & Innovation Center(リコースマートアンドイノベーションセンター)」をリコージャパン本社事業所(東京都港区芝)に新設する。
また、同社は2024年12月に、プリンティング事業を軸とするソリューションを提案する場「RICOH Printing Innovation Center(リコープリンティングイノベーションセンター)」を田町第二事業所から本社事業所へ移転しオープンすることを発表していた。リコージャパンがこのほど、両施設をメディア向けに公開、早速見学してきたのでその模様をお届けしよう。
対話から共創を生み出す「RICOH Smart & Innovation Center」
RICOH Smart & Innovation Centerでは、リコージャパンの営業担当者と顧客が、業務の課題や悩みについて対話しながらデジタル技術を活用した解決策を探る。IT担当者の不在や新システム導入への抵抗、DXに関する知識不足などの解消を支援するという。
施設は「Prologue」「Session Room」「Experience Booth」「Epilogue」の4つのエリアに分かれている。扉を開けると、まず最初は「Prologue」。ここでは、RICOH Smart & Innovation Center全体を表現する約2分間のコンセプトムービーが流れる。これにより、その後の対話をスムーズに進める狙いがある。
「Prologue」の先は「Session Room」だ。ここは、10人ほどが座れる会議室のような空間となっている。ここでは、業務のデジタル度に関する診断ツールや担当者によるヒアリングを通じて、具体的な課題を探る。診断ツールでは「予実績状況をリアルに把握したい」「案件状況が知りたい」など、事前に用意された質問に対して、「課題・関心あり」「課題・関心なし」「判断できない」から直感的に選択する。その後、関心のある項目については対策の時期などを検討する。
また、「Session Room」ではリコーが手掛けるAIエージェントが同席し、デジタルソリューションを提案することも可能。
「Experience Booth」では具体的なソリューションを体験可能。生成AIによって社内のデータ活用を支援する「RICOHデジタルバディ」のほか、ノーコード・ローコードでの業務アプリ作成が可能な「RICOH kintone plus」、Microsoft 365 Copilot関連サービス、HENNGE One for RICOHなど、約20のソリューションを展示。「Session Room」の対話の中で見つかった課題に対する解決策を探る。
ちなみに、「Experience Booth」をはじめRICOH Smart & Innovation Centerは自然で活発な対話を促すために、全体的に植物の緑色や木目調のオフィス家具で統一しているそうだ。
最後は「Epilogue」。ここではリコー代表取締役会長である山下良則氏のメッセージと共に、GX(グリーントランスフォーメーション)や脱炭素に関するソリューションを体験できる。
デモや事例をふんだんに展示する「RICOH Printing Innovation Center」
一方、2024年12月に開設されたRICOH Printing Innovation Centerは、「商用印刷」「企業内印刷」「後加工機」「DX」の4つのゾーンに分けて展示している。リコーグループ内の事例だけでなく、リコーが他社と共創した印刷物の事例(サンプル)が多数展示されている。
商用印刷ゾーンおよび企業内印刷ゾーンでは、「RICOH Pro C」シリーズを導入した企業の実ビジネスのサンプルを展示。さまざまな材質の紙に印刷可能な技術や箔押し、色味などを確認できる。
専属のデザイナーがいない企業や、デザイン外注への不安を抱える企業に対しては、Adobeの生成AIを活用したデジタルソリューションを提案するという。これにより、専門の高度なスキルを持たなくても社内展示物や販促物の作成に着手できるようになる。
後加工機ゾーンでは、印刷後の「折り」などを自動化する印刷機を展示。実際にその場で作成した印刷物を手に取って確認できる。
DXゾーンでは既存のソリューションだけでは対応しきれないような顧客の課題に対し、リコージャパンのエンジニアらが解決策を提案する。リコー製品だけでなく他社のデジタルツールと組み合わせてDXを実現した例などを展示し、顧客の具体的な課題解決を促す。
なお、RICOH Smart & Innovation CenterおよびRICOH Printing Innovation Centerは同じフロアに併設されている。相互に連携することで、オフィスから現場、社会へと広がるワークプレイス全体を支えるとのことだ。今回の両施設の見学を通じて、リコージャパンが顧客との対話を重視し伴走型でDXを支援する姿勢を感じられた。印刷業界はもちろんだが、社内印刷物の作成やAIエージェントの活用、デジタルソリューションの導入に課題を感じている企業にもぜひ見学・体験してほしい。