NECとbiomyは1月10日、顕微鏡での病理標本の観察を、従来の光学顕微鏡ではなくデジタル画像で実行する手法であるデジタルパソロジー領域における解析プラットフォームの開発・拡大に向けた共同マーケティングおよび事業提携を行うことで基本合意書を締結したことを発表した。
今回の提携を通じて両社は、がん患者の個別化医療を推進し、医療業界の発展に貢献することを目指す。
提携の目的
NECは、最先端技術によりさまざまな社会課題を解決する社会価値創造企業を目指しており、ヘルスケア・ライフサイエンス事業を成長戦略の柱の1つに位置付けている。
そして画像解析を始めとするAI技術に強みを持つとともに、電子カルテなどの医療情報システムを長年にわたり医療機関に提供してきた。これに加えて、2019年に第一種医療機器製造販売業の許可を取得するなど、病理AIを含む医療機器の許認可に関する知見を有している。
一方のbiomyは、病理AI技術による個別化医療の実現を目指しており、AIを駆使したクラウドベースの解析プラットフォーム「DeepPathFinder」を保有している。
このプラットフォームはAIが自動でデジタル病理画像を解析し、各領域の細胞種別と組織種別を判定するもの。特にH&E染色画像のみからリンパ球やプラズマ細胞などの免疫細胞の検出が可能。
さらに、薬剤の治療効果や予後に関する特徴を定量化する機能も備えているため、DeepPathFinderを活用することで、デジタルパソロジー領域での解析効率と精度を飛躍的に向上することができる。
提携の概要
今回の提携により両社の強みを融合し、製薬企業やアカデミア向けに病理画像解析を用いた新規病理学的バイオマーカーの探索体制を強化する。
具体的には「病理画像から病理学的バイオマーカーを探索するプラットフォームを製薬企業・アカデミア向けに提供するサービス」「NECおよびbiomyによる病理学的バイオマーカー探索サービス」「探索した病理学的バイオマーカーを利用した医療機器承認取得」といったサービスの提供を想定しているという。
特にがん治療領域において、病理画像から得られるデータをもとに患者の病気の特徴を把握し、これに基づく治療方針策定を支援したい考え。
両社は今後、次世代の病理解析プラットフォームの開発と、開発した病理学的バイオマーカーの医療現場での活用を通じて、がん治療における個別化医療の実現を目指す。