Apple、Google、Microsoft、Uber、Airbnb、Spotify、Amazonといった世界最大級の有名企業の成功は、自社で構築したエコシステム、いわばプラットフォームによるところが大きいといえます。これらのプラットフォームは、カスタマー・エクスペリエンスを簡素化し、企業が新たなイノベーションやサービス、機能を提供することを可能にしてきました。彼らが各業界のディスラプター(破壊的企業)となり、お客さまのロイヤリティを獲得してきた理由はそこにあります。

プラットフォームは複数のパートで構成されますが、全体として各パートの総和以上の価値を提供します。プラットフォームは、サービスの提供や機能の拡張を可能にするほか、ユーザーを連携して、交流・取引・価値創造を容易にします。

運用の簡素化、プロセスの最適化、サイロ化の排除、コミュニケーションの改善を実現することで、プラットフォームはリスクを低減しながら、新たなイノベーションの開発と提供において俊敏性をもたらします。プラットフォームはまた、セルフサービスをも可能にします。これは、車の手配から旅行の予約に至るまで、消費者が享受している利便性です。

プラットフォームの力を体現する企業

Appleは、コンシューマー・テックの世界におけるプラットフォーマーの代表例です。同社は独自のシリコン、アプリケーション・ストア、オペレーティング・システム、そして電子製品を有しています。そして、これらの製品は単独でも問題なく機能しますが、互いに連携させることで、さらに優れた力を発揮します。まるでシンフォニーを巧妙に指揮するかのように、ユーザーがデバイス間でデータや好みを同期できるようになります。プラットフォームの進化に合わせて、ユーザーはソフトウェアのアップデートを行います。

B2Bの分野では、Cisco SystemsがCisco Networking Cloudプラットフォームを提供しており、散在するソリューションを統合し、ITとセキュリティチームが複数のクラウド、無数のサードパーティ・アプリケーション、IoT、セキュリティ脅威の複雑さに対処できるよう支援しています。

一方NVIDIAは、GPU(画像処理装置)を超えて、AIプラットフォーム、AIトレーニング・サービス、AIモデルを構築し、これらすべてをAIプラットフォーム・ソフトウェアで統合しています。これにより、顧客はAIへの参入が容易になりました。

エンタープライズ・データ管理へのプラットフォーム・アプローチの適用

データは組織が所有する最も貴重な資産であり、その活用方法によってビジネスの成果やカスタマー・エクスペリエンスが左右されることも多くなってきています。

データは必要とするときに、必要なレベルのパフォーマンスを発揮できる状態でなければなりません。そのためには、ポイントのストレージ・ソリューションではなく、データ・ワークフローに焦点を当てた、効率的で信頼性が高く、拡張性に優れたソリューションが必要となります。つまりエンタープライズ・データ・ストレージにも、プラットフォームのアプローチが求められているのです。

エンタープライズ・データ管理プラットフォームは、データの取得・保存・分析・ガバナンス・セキュリティに関するすべてのニーズに対応する必要があります。多数かつ多様な種類のワークロード、ユーザー、クラウドネイティブなデプロイメント、エンタープライズ・アプリケーションをサポートできなければなりません。

データは完全に統合され、常にアップデートされ、厳重に保護され、アクセスを許可された者のみが利用できる必要があります。自動化できるものはすべて自動化すべきです。エンタープライズ・データ・プラットフォームは、データから実用的なインサイトを抽出し、イノベーションの推進、効率性の向上、成長の加速、カスタマー・エクスペリエンスの向上を支援します。

プラットフォームのアプローチは、企業がさまざまな環境でデータを管理するうえで大いに役立ちます。プラットフォームは、すべてのハードウェアで動作する共通のオペレーティング・システムによって統一され、単一の管理ソフトウェアによって管理されます。これにより、企業はソフトウェアのアップデートを自動的に配信し、ハードウェアのアップグレードを無停止、つまり、ダウンタイムによるビジネスへの影響なしに実施することができます。

組織は、エッジ、データセンター、パブリッククラウドなど、場所を問わずデータやアプリケーションを展開できる必要があります。プラットフォームはアズ・ア・サービス型でも従来型でも利用でき、支払いについてもOPEXベースかCAPEXベースかを問いません。こういった契約により、あらゆる環境でデータ・サービスを自由にデプロイできます。

プラットフォームはAIワークロード管理にも効果的

エンタープライズ・データ管理市場の成長に関する調査会社の中期予測は多岐にわたりますが、いずれも堅調な成長が予測されています。Fortune Business Insightsによると、世界のエンタープライズ・データ管理市場の2023年の市場規模は921億8000万ドルで、2024年の1010億4000万ドルから2032年には年平均成長率(CAGR)10.5%で2248億7000万ドルに成長すると予測されています。 AIの時代が到来し、エンタープライズ・データ・プラットフォームは複雑なAIワークロードに必要な性能および機能を提供する必要があります。組織が高いROIを実現しようと尽力する中、ストレージの自動化ソリューションや生成AIコパイロットのニーズはますます高まっていくでしょう。

時代の波に乗り、最新のテクノロジーを採用する企業は、市場のディスラプターになれるかもしれません。世界には、優れたディスラプターが必要なのです。

著者プロフィール


Matthew Oostveen(マシュー・ウーストヴィーン)

ピュア・ストレージ アジア太平洋・日本地域担当VP兼 CTO

ピュア・ストレージのアジア太平洋・日本地域担当VP兼 CTOとして、顧客の組織の能力や効率性向上の取り組みを支援するとともに、先端テクノロジーへの移行をサポートしている。ピュア入社以前は、Dell EMCとVCEでCTOを務め、さらにIDC、Microsoft、IBMなどの大手企業にも勤務しており、さまざまなテクノロジーでアジア太平洋・日本地域のお客さまと緊密に連携してきた幅広い経験がある。またIDCの業界アナリストとして、テクノロジー関連のさまざまなトピックについて50本以上のリサーチ・ペーパーを執筆および出版し、IT市場の進化の予測についての文書を作成してきた。