東洋経済新報とメタリアルは12月19日、同月5日に提供開始した「四季報AI」のVersion2に関して、旧バージョンとの機能性の比較を説明するための「四季報AI バージョンアップ版 体験会」を実施した。
四季報AIの概要
「四季報AI」は、東洋経済新報社の「会社四季報オンライン」をはじめとする記事・データを出典として、証券会社や機関投資家、個人投資家や市場調査担当者などを対象に、株式市場での企業分析をサポートする対話形式のAIツール。
日々更新される「会社四季報オンライン」の最新データや、過去の膨大な情報をAIに学習させることで、企業の事業進捗や業績などを基にした高精細な分析と、汎用的な生成AIとの比較、より信頼性の高い回答が可能となっている。
さらに企業同士の相関関係や業界動向分析など、さまざまな洞察をスピーディーにユーザーへ提供できることも特徴の一つとなっている。
2023年10月に製品版がリリースされて以降、「会社四季報オンライン」のプレミアムプランに契約しているユーザーが利用できるサービスとして愛用されてきた。今回、これまでのバージョンよりも大幅に機能アップした「四季報AI」のVersion2の提供を12月5日より開始したことを発表した。
「四季報Ver.2」のアップデート内容
今回の四季報AIのアップグレードにより改善したのは「分析AIエージェント数」「参照する引用データ元」「分析のレベル評価」「定性的なデータ評価」「投資判断の材料」「チャット内容の提案」「視覚的データの提供」「情報の正確性」「参照対象外の質問対応」という10項目。
その中でも特徴となるアップデートの内容は、「分析AIエージェント数」で、Ver.1ではAIエージェント1体のみで分析・出力を行っていたところ、Ver.2ではAIエージェントの数が50倍に増加。50体が分析・相談・戦略や方針決定・出力する仕組みとなったことで、計算や分析能力が大幅に向上している。
「メタリアルAI LLM2」の特徴
この最大の特徴とも言える分析AIエージェントとしては、複数モデルの連携で実現する、企業の課題解決に特化した次世代AIオーケストレーションシステムである「メタリアルAI LLM2」が採用されている。
業界特化型生成AIシステムとして開発されたメタリアルAI LLM2は、汎用性よりも専門性に焦点を合わせた調整を行うことで、現場の実態に即さないAIソリューションへの対応で疲弊することなく、速やかに実業務に導入できるシステムを実現している。
異なるアーキテクチャや学習データを持つ多様なLLMをAPIやプロトコルを介して動的に連携させることで、各モデルの入出力や内部状態をリアルタイムで監視・制御、タスクに応じて最適なモデルの組み合わせとパラメータ調整を行う。
単一モデルでは困難な複雑なタスクを、複数モデルの協調動作で高精度に処理し、転移学習やファインチューニングにより、企業の業務に特化したドメイン知識を各モデルに効率的に統合する仕組みだ。
機能としては、「銘柄ごとの主要な収益モデルや成⻑戦略など複雑な分析が可能」「シンプルな表だけでなく、視覚化しやすい異なるグラフによる訴求が可能」「銘柄情報だけでなく、対象企業の経営者の手腕についても詳細に分析・解説」「四季報AIの抽出データを議事録やスライド、メモなどにコピー&ペーストを容易化」という4つがある。