富士通、東洋大学、ココロバランス研究所は12月11日、社会課題として深刻化するカスタマーハラスメント(カスハラ)への対応向上を目指し、AIや犯罪心理学に精神保健学を融合した「カスタマーハラスメント対応教育プログラム」の開発に向けた実証実験を12月3日より開始したことを発表した。

プログラムの概要

同プログラムでは、富士通の生成AI技術と行動変容支援技術、東洋大学の犯罪心理学の知見を融合して開発を進めてきたカスタマーハラスメント体験AIツールに、AIアバターとのやりとりが可能なインタラクティブフィードバック機能を新たに加えたものを提供する。これにより、体験者のカスハラ対応を向上させるための行動を明確にする。

また、体験者への教育効果を評価するため、ココロバランス研究所の精神保健学の知見を生かして、顧客対応やストレスマネジメントといったカスハラへの対応力を測る心理尺度の開発を目指す。適切なカスハラ対応の習得を支援するとともに、その効果を定量的に評価できるプログラムを実現するという。

  • カスタマーハラスメント対応教育プログラムの概要図

    カスタマーハラスメント対応教育プログラムの概要図

富士通コミュニケーションサービスで実証

三者は実証実験について、富士通コミュニケーションサービスのコールセンター従業員を対象に実施する。体験者の顧客対応やストレスマネジメント、エンゲージメントや主観的生産性の変化を分析することで、科学的根拠のあるプログラムの開発につなげる。

三者は今後、実証実験の結果を踏まえて改善を加えながら、2025年度の教育プログラムのサービス実用化を目指すとしている。顧客対応業務の従業員がカスハラに遭遇した場合の対応策を事前に把握し、心理的負担を軽減することで、安心して働ける社会づくりに貢献する。