DNPと新潟県三条市は12月5日、DNPが提供する「メタバース役所」に市役所職員の分身となるAIキャラクターを配置し、住民がこのアバターに相談することを通じて、不安や悩みの軽減の有効性を検証する実証事業を2024年12月5~11日に行うことを発表した。

実証事業の概要とポイント

DNPと三条市は今回、地域住民のエンゲージメント向上を目指した業務DX(デジタルトランスフォーメーション)による行政サービス高度化の一環として、AIアバターを活用した「メタバース役所」の相談サービスの実証事業を行う。

公的機関への相談件数は増加傾向にあり、その中でも「離婚」に関する件数は多いものの、「相談先がわからない」「近所の人や友人に知られたくない」など、相談しにくいという課題があったという。

そこで今回の事業では、相談テーマを「離婚」に絞り、相談者の配偶者との関係や家庭内の不安・悩みなどに対し、AIアバターが多様な選択肢の提示と適切な支援機関の案内をサポートする。

今回の有効性検証の成果を活かして、AIアバターとの対話が相談者の精神的な孤立を防ぎ、自治体が住民の不安・悩みを早期に発見・対応していくことを目指す。

  • 「メタバース役所」空間での相談イメージ

    「メタバース役所」空間での相談イメージ

実証事業における「メタバース役所」の特徴

DNPが提供する「メタバース役所」は、利用者のプライバシーに配慮しており、相談など対話の内容が他人に漏れ聞こえない遮断機能などがある。

匿名での相談も可能で、アバターを介したコミュニケーションによって、対面やWeb会議と比べて自己開示しやすくなる傾向が見られるなど、相談者の心理的な負担軽減につながる。

さらにメタバース上では、自治体の役所開庁時間に限らず、いつでも・どこからでも気軽に相談が可能。対面で相談する場合と同様、「メタバース役所」のAIアバターが、相談内容に応じてその後の手続きや必要な行政支援などをその場で提示し、適切な支援機関も案内してくれるという特徴がある。

今後の展開

DNPは、AIアバターによる「メタバース役所」の相談機能を多くの自治体等に提供し、住民の相談ごとや課題の早期発見と適切な対応を支援するとともに、潜在的な悩みや不安の軽減を目指した住民サービスの向上を目指す方針。

今後、実証事業の結果をもとに新たなサービス開発を進め、「メタバース役所」のサービスを拡大し、より多くの地域の課題解決に取り組んでいくという。