FinatextとNECは11月28日、共同で保険会社におけるシステムのモダナイゼーションを支援していくことを発表した。

協業の概要

昨今、保険業界を巡っては、少子高齢化の進展や自然災害の甚大化、デジタル技術を活用した異業種からの参入・新サービスの開発など、市場環境が大きく変化しており、こうした社会環境や顧客ニーズの変化に柔軟に対応可能なビジネスモデルやシステム環境の変革が求められている。

具体的には、開発期間の短縮化や顧客体験価値向上のための保険業務に係わるデータの分析・活用・連携が挙げられる。

こうした中、デジタル保険領域用のSaaS(Software as a Service)ソリューションを有するFinatextと、保険会社向けのシステムの開発実績と生成AIを持つNECが協業することで、これらの課題に対応したソリューションを共同開発していく。同ソリューションは2025年度をめどに保険会社へ提供することを目指す。

ソリューションの特徴

新ソリューションは契約~保全~支払いまで一連の保険業務領域に、Finatextが提供するSaaS型デジタル保険システム「Inspire」を活用する。

Inspireは2020年に提供開始し、保険業務に必要な基本機能はすでに備わっているため、新たに保険システムを構築する場合と比べてイニシャルコストの低減が可能。高度なシステム設計により高い柔軟性・拡張性を有しているという。

一方、NECは生成AIの「cotomi」や生成AI活用に関するナレッジなどを有し、多くの社会課題の解決を行っている。それらの技術・ナレッジに、Finatextが保有する金融領域に関する専門性と知見を組み合わせることで、保険会社の業務の高度化を実現するとのこと。

たとえば、保険に関する相談や契約締結時の利用者サポートを生成AIで実現し、最適な保険商品・サービスの提案や業務を迷わず行うことを可能とし、CX(Customer Experience)向上や業務効率化、CS(Customer Satisfaction)およびES(Employee Satisfaction)向上するとしている。

また、同ソリューションはローコードツールの活用により、開発者のスキルに依存することなく、新商品の追加や商品改定時のUI開発、CX向上施策の企画・提案などを柔軟かつスピーディに行うことが可能となる。

さらに、ユーザー画面などのフロントエンドとデータベースなどのバックエンドを分離し、カスタマイズ範囲を限定したアーキテクチャを採用。

加えて、動作検証済のツール・サービスのみを組み合わせることにより、保険会社にて1からシステム構成の検討・動作検証を行う必要がなく、迅速にシステム開発に着手することが可能。両社は、これらの特徴を有するソリューションを共同で開発し、2025年度中の提供開始を目指す。