Coltテクノロジーサービスと富士通本11月28日、富士通のトランスポートブレード「Fujitsu Network 1FINITY(以下 1FINITY) T900 / T950」を西日本でのネットワーク拡張に活用することを発表した。
富士通の「1FINITY T900 / T950」は、光1波長あたり毎秒1.2テラビットの大容量データ送信を実現する光送受信機。富士通独自のクローズドループ水冷技術を採用することで、従来の空冷システムと比較して2倍の冷却能力と、発生する騒音の50%低減を実現している。
英 Coltテクノロジーサービス アジア太平洋地域社長 水谷安孝氏は、富士通の機器をColtのネットワークに組み入れたいと考えた背景について、次のように説明した。
「最大の魅力が低電力であり、富士通の水冷は世界でも群を抜いて性能が高く、緻密に考えられている」(水谷氏)
50%の静音化を実現している富士通の光送受信機
一方、富士通 ネットワークビジネスフロント本部マーケティング統括部 統括部長 島田裕二氏は、フォトニクスネットワーク「IOWN」について、「トランシーバー 光をダイレクトにつないでオールフォトニクスを実現するソリューションを提供している」と説明した。
島田氏は1FINITY T900の特徴について、「通信機器に閉じた水冷システムとなっているため、局舎の工事が不要。水冷システムではあるが、フィールドにスムーズに適用できる」と述べた。
1FINITY T900では、リキッドを流すことで冷まして、ラジエーターのような形でリキッドを覚まして戻すという。さらに、島田氏は「他社の機器はラジエーターをかなり回しているが、当社の製品は50%の静音化を実現している。当社は新たな水冷システムを実装している」と語った。
自社ネットワークをオーストラリアに拡大
説明会では、水谷氏が2025年度のアジア太平洋地域の事業戦略についても説明した。同氏は、「1年前にLumenのEMEAを買収することを発表し、1300人がジョインした。私の上司はLumenから入ってきたが、エンタープライズのノウハウももたらされた」と語った。
水谷氏は、北米とヨーロッパのビジネスについては、次のように説明した。
「北米では、パートナーシップを通じてソリューションを提供できる体制が整備された。ヨーロッパにおいては名実共に、最大のネットワークオペレーターとしてのポジションを獲得できたのではないか。当社は自前で海底ケーブルを持っていなかったので、海底ケーブルに知見を持っている富士通と話せるようになったことは大きい」
Coltは同日、今年6月に発表した東南アジア6カ国での事業拡大に続き、今年第4四半期にオーストラリア連邦、シドニー都市部のネットワークを拡張し、同都市の約250の商用ビルと20以上のデータセンターへのネットワーク・アクセスを実現することも発表した。今回、最大400Gbpsの都市部接続と最大10Gbpsの国際接続を提供する。
加えて、水谷氏は「Network as a Serviceを拡張する計画が現実味を帯びてきた」と語った。2024年のMEF ForumのNaaSエクセレンス授賞式において、 6部門で受賞したという。「われわれはメトロのネットワークを持っており、オンボードで設定を変更できる。ラストマイルまで柔軟に変えられる」(同氏)
さらに、水谷氏はイノベーションとして、RIVADAとの提携を紹介した。RIVADAは低軌道の衛星を600ほど打ち上げて、MPLSを宇宙空間に構築することに取り組んでいる。2025年に衛星を打ち上げる予定だという。同氏は「RIVADAによる ネットワーク構築が完了すると、ファイバーよりも高速性を実現できる。できるだけ早めに日本にも持ってきたい」と語っていた。
APAC成長戦略の3つの柱
アジア市場における営業戦略については、Coltテクノロジーサービス 代表取締役兼アジア営業担当 バイス・プレジデント 大江克哉氏が説明を行った。
大江氏は、西日本のカバレッジ拡張について説明した。まずは、パートナーのデータセンターがある岡山でサービスを接続するという。「接続拠点も増やしているが、これが目玉になる。帯域保証をした形で提供する。年率24%と高い成長率で伸びている。今年は40GBという広域の案件が決まった」と同氏は語った。
さらに、大江氏はAPAC成長戦略の3つの柱を紹介した。まず、グローバルセールススペシャリストを立ち上げたことを紹介した。ヨーロッパのチームと連携して、顧客にソリューションを提供するという。「グローバルOneチームで臨む。ワンストップで多言語カバレッジに取り組んでいる」と同氏。
2点目は、キャピタルマーケットのアップリフトだ。同社は世界の取引所間をファイバーで接続しており、アジアでは、高速ファイバーで、株価のデータをリアルタイムで提供するサービスを提供している。今後は、NASDAQも含めて提供していく構えとしている。
3点目は、SI成長モデルだ。まず、金融業界は直販でカバーする。続いて、グローバルエンタープライズと公共はSIer経由で攻めていく。大江氏は、日本独自の組織を立ち上げたが前年比50%の成長を達成しているとして、国内事業が順調に成長していることをアピールした。