Amazonはこのほど、2020年~2023年の期間に、静岡県に総額55億円以上を投資したと発表した。同時に、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターが実施した「Eコマースの普及が企業と消費者にもたらす経済的影響」調査の結果も公開し、、Eコマースは企業、とりわけ中小企業の成長を促進し、オンラインショッピングにより消費者は文化的豊かさと生活満足度が向上することもわかったとしている。
Amazonは、静岡県への経済や社会への貢献について発表した。2023年の単年で静岡県へ16億円以上の投資を行い、2020年~2023年の静岡県への総投資額は55億円を超えた。この中には設備投資(配送拠点であるデリバリーステーションなどのインフラ整備を含む投資)と、顧客や配送パートナー、中小企業向け各種プログラムの拡充、従業員の報酬などの事業運営費が含まれる。Amazonによる静岡県への投資は、顧客に満足してもらえるソリューションとサービスを創出し、県内の企業や地域経済を支援するという長期的なコミットメントを表している。
Amazonは、2023年に静岡県初となる「三島デリバリーステーション(DS)」を三島市に設置。2024年には、「浜松DS」「袋井DS」「駿河DS」を新たに開設した。これにより、静岡県の一部の地域では翌日配送が可能となり、利用者より迅速に商品を配送している。
Amazonは、地球上でもっとも顧客を大切にする企業を目指しており、日本への投資は、顧客に喜ばれる価値あるソリューションやサービスを創造し、求めやすい価格の幅広い商品と、利便性の高い買い物体験を提供する継続的な取り組みだとしている。
全国の中小企業を含む販売事業者がAmazonで商品を出品しており、全国にあるフルフィルメントセンター(物流拠点)やデリバリーステーション(配送拠点)などのインフラへの投資は、静岡県内を含む販売事業者による「フルフィルメント by Amazon」を活用した日本全国、および海外の顧客への商品の発送に貢献している。
日本の中小企業は、地域社会の中核であり、日本経済の柱として大きな役割を担っており、Amazonには静岡県内の約3000の販売事業者が出品している。。Amazonは、革新的なツール、プログラム、サービスにより、販売事業者のビジネスの成長を支援しており、2023年、静岡県の販売事業者はAmazonで数百万点の商品を販売し、その販売個数は前年比で2桁増となった。
これに伴い、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(アマゾンジャパンからの委託研究)が2024年8月に実施した「Eコマースの普及が企業と消費者にもたらす経済的影響」調査の結果も公表しており、Eコマースは企業、とりわけ中小企業の成長を促進し、オンラインショッピングによって消費者は文化的豊かさと生活満足度が向上することがわかったとしている。
企業の売上変化に関する調査では、過去1年~9年前のどこかのタイミングで、Eコマースを開始した静岡県の企業は、開始後、平均して売上伸び率は年に約1.6%上昇したことがわかった。全国の小売業(EC実施の有無にかかわらず)の2015年~2023年の売上増加率の中央値が-0.08%であることと比較すると、Eコマースの成長率が顕著であることがわかる結果となった。
さらに、Eコマースを開始した従業員100人未満の静岡県の中小企業の年間の平均売上増加率の上昇幅は、同県の大企業の2倍以上の2.3%という結果となった。また、調査では、Eコマースを契機に事業が拡大するにつれて採用を増やすことが判明した。静岡県では、Eコマースの開始4年目以降は平均3人を新たに採用しており、これは全国平均の3倍にあたる。
Eコマースの開始後、静岡県の企業の売上増加率は年に約1.6%底上げされる一方で、月間平均労働時間は全国平均の1.3時間減少を上回る2.4時間減少していることから、Eコマースが生産性の向上につながることも明らかになったとした。
消費者に関する調査では、過去1年間にオンラインショッピングを始めた人は、約90%が「いつでもどこでも簡単に買い物ができる」こと、約80%が「商品の迅速な配送」をオンラインショッピングの利点だと感じていると回答した。
さらに回答者全体で、主要な商品カテゴリー(書籍、日用品、家電製品、美容・ヘルスケアなど)において、オンラインショッピングの方が小売店よりも平均して4.5%程度安く入手できると回答している。
さらに回答者の65%が、オンラインショッピングでは「幅広い商品にアクセスできる、バラエティの豊富さ」、また約半数が、「高品質な商品を入手できる」ことをメリットとして実感していることもわかった。
文化的な側面からの質問として、普段の生活や地元の商店では見つけることが難しい本や地方の珍しい食材との出会いなどを例に挙げ、オンラインショッピングを通じた文化体験について尋ねたところ、7割が「文化的豊かさ」を感じるようになったと回答。8割が「暮らしの満足度が上がった」と感じているなど、オンラインショッピングが消費者の生活の質の向上に貢献していることがわかった。
これらの結果を受け、GLOCOM 主幹研究員 田中辰雄氏は、「今回の調査により、静岡県の企業がEコマースを効果的に利用して事業成長を遂げていることを示しています。特にEコマースは中小企業の売上と生産性を向上させ、それにより企業は得た利益でより多くの人を雇用し、事業を継続的に成長させていることが読み取れます。Eコマースはリソースに限りがある中小企業にビジネス成長の良い循環をもたらしていると言えるでしょう。また、Eコマースは、私たちの社会や文化に新たな価値をもたらしました。利便性や価格、商品の幅広さに加え、珍しいあるいは、見つけづらい商品を購入できる喜びから得られる文化的価値も注目に値します。Eコマースは地域間の格差を解消し、消費者が文化的に豊かな生活を送ることに一定の貢献を果たしていると考えられます」とコメントした。
アマゾンジャパン 社長 ジャスパー・チャン氏は、「お買い物をしてくださるお客様や販売事業者様、配送パートナーの皆さま、地域社会の皆さまには、Amazonの今日までの成長を支えてくださったことに深く感謝申し上げます。Amazonは、今後も静岡県への投資を通じて地域経済に貢献し、地元の販売事業社様のビジネスを支援し、そして静岡県にお住まいのお客様の生活そのものを、さらに豊かで便利なものへと変革できるよう努めてまいります」と述べた。