BtoB向け海外卸販売サイト「SD export」を運営するラクーンコマースは11月19日、「2024年BtoB越境ECランキング」を発表した。越境EC輸出先は、流通額の伸び率ランキングの1位はタイで、「人気商品国別ランキング」では、各国とも6位以内に「食器」と「筆記用具」がランクインした。
ラクーンコマースの提供する「SD export」は、幅広いジャンルの商品を約83万点以上取り扱うBtoB向け海外卸販売サイト。輸出作業や手続き、代金回収はすべて「SD export」が代行するため、出展企業は国内販売方法と変わらない作業で手間やリスクなく海外への販売が可能。世界134カ国を対象に、マッチングから受注、決済、貿易事務、物流のすべてをオールインワンで提供している。
昨今、インバウンド需要が高まり、日本と海外の行き来が活発化するなかで、世界に売り出そうと挑戦する日本の中小メーカーが急増している。2022年10月に閣議決定された経済対策には、「新規輸出1万者支援プログラム」が盛り込まれるなど、これまで輸出経験のない中小企業や地域企業でも迅速に準備や商談、輸出を進められるサポート体制の整備も進んでいる。
2024年9月に経産省より発表された「令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書」では、中国消費者、および米国消費者が、日本事業者から購入する越境EC購入額がそれぞれ前年比7.7%増加、14.4%増加したと言及され、日本商品の世界各国での売れ行きに注目が集まっている。
ラクーンコマースによる越境ECの海外流通取引総額は、直近の2025年4月期第一四半期(2024年5月~7月)時点で、昨対比19.2%増加の18億8000万円に達し、成長を続けており、このほど、国別流通額の伸び率ランキングなどをまとめて「2024年BtoB越境ECランキング」を発表した。
ラクーンコマースの越境EC輸出先は、流通額ベースで1位が台湾、2位が香港、3位が北米で、1位の台湾が約4割を占めている。
流通額上位国を対象に抽出した「国別流通額 伸び率ランキング」では、特にタイ(87.7%)、韓国(67.9%)、オーストラリア(54.2%)、アメリカ(41.0%)の成長率が高い結果となった。これらの市場における日本商品への需要が拡大している言えるとし、円安の影響や日本のキャラクターブームが起こっていることも成長要因として考えられると分析した。
ラクーンコマースの顧客層は、各国の小売店を始めとする小規模事業者が多いことから、特定のブランド商品が指名買いされるケースよりも、日本のメーカーの高品質な商品や「伝統的な日本らしさ」が感じられる商品が好まれる傾向がある。
2024年の「人気商品国別ランキング」では、台湾では「トップス(レディースアパレル)」、北米・ヨーロッパ・オセアニアではともに「食器」、韓国は「ぬいぐるみ・人形」、中国では「手帳・ノートなど」が1位となり、各国ごとの特性により、売れ筋商品が異なる結果となった。
これまで台湾では食器がもっとも人気が高かったが、コロナ禍の渡航制限により日本に買い付けに行けなくなった影響で越境ECへのスライドが起こったことと、日本のアパレルブランドの根強い人気と円安が相まって、アパレルが1位となった。
共通点としては、各国とも6位以内に「食器」と「筆記具」がランクインしているほか、「ぬいぐるみ・人形」も多くの国で人気を集めていることから、これらのカテゴリーは越境ECでのマーケティングや販路拡大において重要な商品カテゴリーと言えるとの見解を示した。
2025年のトレンド予測として、「SD export」では今後さらに注力するジャンルとして「ステーショナリー」「手芸クラフト」「カルチャー系商品」の3つのジャンルに注目。
▲2025年トレンド予測
日本のステーショナリーは、機能性とデザインの美しさから海外でも注目を集めている。アメリカやヨーロッパで人気が高まっている「手芸クラフト」分野では、日本製の手芸用品がその高品質な発色から評価されており、YouTubeライブ配信を通じた現地での魅力発信にも力を入れている。
さらに「推し活」グッズは、日本の漫画やアニメ等のコンテンツの躍進に合わせて、独自のカルチャーとして海外で広がりをみせている注目のジャンルで、「推し活」グッズの流通額は、2024年1月から9月までで出品商品数4倍、流通額7倍に伸長している。各国での文化に寄り添いながらプロモーションを行うことで、その人気をさらに広げていくと予測した。
人々の趣味嗜好が多様化する中、「SD export」では各ジャンルの市場により細分化したコミュニティを形成し、現地の商習慣や文化に合わせたローカライズ戦略の強化を図る。また、顧客にとって「SD export」が単なるツールではなく、信頼できるパートナーとして認識されるよう、リアルな接点の創出を通じ、より身近で寄り添った存在となることを目指す考えを示した。