石破茂首相率いる新内閣が発足し、厚生労働相には福岡資麿参院議員(51)が就任した。初入閣の福岡氏は石破内閣で最年少。自民党厚労部会長を2度務めて厚労省や関係団体に人脈があることから、社会保障通として知られている。省内では「石破首相が社会保障に詳しくない分、福岡先生を厚労相に充てたのだろう」(官房幹部)と受け止められている。
福岡氏は厚労相就任会見で、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」への移行に伴い、現行の健康保険証を12月2日で廃止する政府方針を「堅持したい」と明言。「スムーズな移行が図られるよう対応に万全を尽くす」と述べた。
マイナ保険証を巡っては、他人のデータと誤ってひも付けされるトラブルや利用率の低迷などで円滑に移行できるのか不安視されている。首相自身も自民党総裁選で移行時期の延期を示唆したと受け取れる発言をしていた。各保険者はすでにマイナ保険証へ全面移行する前提で準備を進めており、先の幹部は「福岡大臣は、石破内閣でもぶれずにマイナ保険証へ移行するという姿勢を示した。方針転換すれば高齢者を中心に加入者や保険者が大混乱するところだった」と胸をなでおろす。
一方で、公的年金制度の改正や、医療・介護費の負担の在り方を巡り、福岡氏から踏み込んだ発言は聞かれなかった。
年金、医療、介護の改革は負担増を伴うものも多く、岸田前政権下でも75歳以上の医療の窓口負担割合の見直しを検討していた。ただ、衆院総選挙の直前にこうした「正論」を唱えることは高齢者の票を失うことにつながりかねない。中堅幹部は「国民生活に影響がある改革項目について慎重になるのは分かる。本当は負担増を含めて各党に正面から議論してほしいのだけれど」とぼやいていた。