サカタのタネ、レビューとFAQで不安解消 成功体験提供でファン育成

種苗のECサイトも運営するサカタのタネは、購入前の不安解消の対策で集客につなげている。レビューが購入を検討する人の後押しになり、商品画像の下に星評価を表示して分かりやすくした。

これまでレビュー投稿のキャンペーン施策も行ってきたが、現在はキャンペーンを行わなくても月500~600件程度の投稿がある。「レビューは会員ページから投稿され、一度目を通してから掲載している。ダイレクトに反響を見ることができている」(直売部 菅原尚也次長)。

販売をゴールとするのではなく、育てて収穫できるという成功体験を提供していくため、園芸相談のアフターフォローも手厚い。

2022年3月に開設した「花と野菜のよくある質問FAQ」はアクセスが数万件にのぼる。野菜や花の品種をクリックすると想定される質問と回答が表示。回答は栽培に従事する同社のスタッフが作成しており、実際に相談を受けた内容や検索の多い事項を分析し、随時ページの更新を行う。

「FAQ」ページはオンラインショップからは独立しており、同社の商品購入に関わらず利用できる。電話やメールでの園芸相談も受け付けている。

育て方のレクチャーを書いたコラムページにも力を入れているほか、オフラインでの育て方セミナー、種まき体験、開発工場の見学会を行い、ユーザーと情報交換をする機会も設けている。

▲タネにまつわる豆知識や楽しみ方をまとめた読み物コンテンツ「タネのはなし」

サイト利用は園芸を趣味とする人や、小規模な農家が中心。個人顧客は50代以上と比較的高齢で、カタログを利用した電話注文の割合が高い。地域の種苗店を介さずに種子を購入する若い就農者の利用も広がりつつあり、ECを今後も強化していく方針だ。

同社が開発したタネは世界中で使用されており、中でもブロッコリーは世界の7割弱が同社のタネで生産されたものとなっているという。