富士通は9月30日、Cohereと共同開発したプライベート環境で使用可能な企業向けLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)「Takane」(高嶺:タカネ)をAIサービス「Fujitsu Kozuchi(Generative AI)」に組み込み、「Fujitsu Uvance」のオファリングであるオールインワンオペレーションプラットフォーム「Fujitsu Data Intelligence PaaS(以下、DI PaaS)」を通じてグローバルに提供開始することを発表した。

Takaneはセキュアなプライベート環境で利用できる特徴を持つ。大規模な文章の参照が可能な「ナレッジグラフ拡張RAG」や、法規制や企業ルールに準拠した出力が可能な「生成AI監査技術」などで構成される「エンタープライズ生成AIフレームワーク」と合わせて提供することで、業務に特化したLLMで業務変革を支援するとのことだ。

日本語能力

TakaneはCohereのLLM「Command R+」をベースに、富士通の知見を組み合わせて開発したモデル。日本語強化のための追加学習とファインチューニングを行い、日本語言語理解ベンチマークであるJGLUEで、自然言語推論のベンチマークであるJNLI、機械読解タスクのベンチマークであるJSQuAD、Nejumi LLMリーダーボード3においては意味理解および構文解析において他社モデルと比較して高い性能を達成。なお、「Command R+」の多言語対応(10言語)やビジネスプロセスを自動化する機能を継承している。

  • JGLUEのスコア比較

    JGLUEのスコア比較

セキュアなプライベート環境

Takaneはセキュアなプライベート環境で利用可能な点も特徴。これにより、事務作業や問い合わせ対応、各種審査業務において顧客の個人情報を扱う金融業界、設計や開発など秘匿性の高いデータを扱う製造業、機密性の高いデータを扱う安全保障分野など、データ漏洩の懸念からLLMの導入が難しい業務でも活用できるという。

ファインチューニングによる特化型LLM

企業独自のデータを用いてファインチューニングやカスタマイズを行うことで、Takaneを業務に特化したLLMとして高度化し利用できる。CohereのRAG技術と富士通のナレッジグラフ拡張RAG技術や生成AI監査技術により、法規制および業界・企業のルールに準拠したLLMを利用可能。これにより、専門用語が多く頻繁に法規制が改正される金融業界などでの利用にも対応可能だとしている。