ベネッセコーポレーションは9月24日、2024年度「大学入学共通テスト」の出願受付が9月25日から開始されることにあわせ、仮想空間(メタバース)で受験できる新たな方式の「進研模試」の記者説明会・体験会を開催した。
説明会には、ベネッセコーポレーション 学校カンパニー ビジネスイノベーション部部長の戸賀瀬知佳子氏が登壇し、サービスのプレゼンテーションならびにデモンストレーションが行われた。
メタバースで模試を受験する
今回のサービスの土台となった進研模試は、大学・短大進学を目指す人のための全国最大規模の模擬試験だ。大学入学共通テストを想定したマーク式と、個別試験を想定した記述式の2種類があり、最大で単回40万人以上の高校生に受験されている。問題は入試分析のもと出題されており、全国の学校の高校1~3年生が入試対策として活用している。最初に戸賀瀬氏は、「高校生を取り巻く環境変化」として以下のように語った。
「近年、少子化による地方コミュニティの課題や進路・学習の多様化などにより、自分に合った学習環境や仲間・ライバルを見つけにくい環境にいる高校生が増えています。そのため、生徒が学ぶ場の選択肢を増やす支援が必要とされています。特に地方部でのコミュニティ不足は深刻で、1学年に1クラスしかないという現状もあります。このような背景から進研模試も進化していく必要があると考えていました」(戸賀瀬氏)
このような背景のもと、「日本や世界のどこにいても、メタバースという仮想空間の中で、いつでも多くの仲間とつながり、大学入試に向けた模擬試験を24時間いつでも自分のペースで受験することができる」ことを目指して作られたのが、今回発表されたメタバースを活用した模擬試験だ。
同サービスは、大学入試に向けた模擬試験である進研模試を、メタバース上に用意された模試の受験会場に集う形で受験できるというもの。自宅で自分の予定に合わせて24時間受験が可能。
受験後すぐに結果の確認ができ、時間を空けず復習ができることや、自宅で受験しながら、全国規模の順位・合格可能性判定の確認ができることが特徴として挙げられている。
マーク式と記述式でデジタルを活用しながらも本番の入試に合わせた実施形態を採用しており、マーク式はPC・タブレット上で、実施時間の管理から解答提出まで完結できる。受験直後に科目単位での結果をすぐに確認することが可能。
記述式は本番入試を意識し、あえて「解答用紙(紙)に記入する」形式を採用。実施後は、答案用紙(紙)をスマホやタブレットで撮影し、画像データとして提出。1~2週間程度の採点期間を経て順次返却するという。
なお料金はマーク式が2200円、記述式が2700円となっている。
遠く離れた仲間とコミュニケーションできる
また、試験会場からコミュニティルームに移動すれば、受験の前後にそれぞれのアバター同士で、ほかの生徒と音声やチャットでコミュニケーションすることも可能だ。
立ち話のようなスタイルでカジュアルに雑談ができるほか、ミーティングスペースに集まればグループで勉強の振り返りやクローズドな話し合いなどをすることもできる。
モニターとしてサービスを活用した高校生・大学生からは「離島などの遠隔地の不利や経済的負荷の解消ベネフィットは高校生からも期待が大きい」「部活など自分の予定に合わせて分割して受験できるのはありがたいと思う」といった声が聞かれたという。
今後のサービスの広がりについて、戸賀瀬氏は「今回、第1弾として学力テスト・模擬試験での場を提供するが、各地の学生が、各々のスタイル・スピード・タイミングで学べる空間、サービスを提供したい」とし、今後は「高校生の就職支援」や「プログラミング教育」などにも前向きな姿勢を見せていた。