水産研究・教育機構、オーシャンアイズ、KDDIは7月17日、持続的な漁業生産活動の実現に向けて、漁船での衛星ブロードバンド「Starlink MARITIME」を利用した漁業のスマート化促進に向けた取り組みを強化することを発表した。

近年はさまざまな種類の漁船漁業において、漁業の効率化や持続的な漁業生産活動の実現を目指し、先端技術を活用したスマート化の動きが進められている。しかし、漁船の通信環境による通信エリアや通信容量の制約が課題となっている。

こうした中、KDDIが提供するStarlink MARITIMEの利用可能エリアが2月から領海外まで拡大したことで、沿岸から遠洋で操業する漁船での利用可能性が高まった。また、同サービスの高速通信を活用した漁業のスマート化への応用範囲の拡大も期待されている。

水産研究・教育機構とKDDIは共同研究を実施し、Starlink MARITIMEを小型いか釣漁船に搭載して漁船でも高速ブロードバンド通信を実現可能であることを確認するなど、導入効果の検証を進めている。

同様に、水産研究・教育機構とオーシャンアイズが実施する共同研究では、漁船の操業活動で得られる豊富な水温・塩分データなどを用いて、漁場を知る際に重要となる海洋シミュレーション技術の高度化を図り、海洋環境予測モデルの精度向上について検討している。

これら2つの共同研究による取り組みは、漁船漁業のスマート化を目指す中で同じ将来像を見据えたものであり、相互に融合した取り組みを行うことで相乗効果が期待できるという。

3者は今後、小型いか釣漁船で観測した水温などのデータをStarlink MARITIMEを用いて迅速に海洋環境予測モデルに反映し、その結果を漁船漁業の操業に活用する取り組みに着手する。将来的には漁場形成予測の高度化につなげ、漁場探索時間の短縮化による燃油消費量や二酸化炭素排出量の削減などをもたらすことで、持続的な漁業生産活動に貢献するとのことだ。

  • 小型いか釣漁船のスマート化

    小型いか釣漁船のスマート化