5月29日から31日まで、東京ビッグサイトで開催された「オルガテック東京2024」。同展示会は、製造業向けITソリューションの展示会で、「設計・製造ソリューション展」「機械要素技術展」「ヘルスケア・医療機器 開発展」「工場設備・備品展」「次世代3Dプリンタ展」「計測・検査・センサ展」「製造業DX展」「ものづくりODM/EMS展」「製造業サイバーセキュリティ展」という9つのエリアで構成されている。

本稿では、内田洋行の「人が主人公となるハイブリッド・ワークプレイス」をテーマにした展示を紹介する。同展示では、木の心地よさに包まれながら、自律的な働く場の選択と、最適なコミュニケーション手段を選択できる空間とICTが展示された。

  • オルガテック東京2024 内田洋行のブースイメージ

    オルガテック東京2024 内田洋行のブースイメージ

オフィスの省エネを実現する「SmartBuildingIntegration」

内田洋行が掲げている「人が主人公となるハイブリッド・ワークプレイス」というテーマは、リアルとデジタルの両方で働く場を自然につなぎ、人と人との結束力を高め創造的生産性を向上させる場所のことを指す。

特に今回の展示では「心地よさに包まれることで創造的生産性をたかめる快適な空間」「働く場とさまざまなコミュニケーションを自律的に快適に選ぶためのICT」という2つがコンセプトとして掲げられた。

  • 「働く場とさまざまなコミュニケーションを自律的に快適に選ぶためのICT」というブースコンセプトが掲げられていた

    「働く場とさまざまなコミュニケーションを自律的に快適に選ぶためのICT」というブースコンセプトが掲げられていた

特にICTに関しては、働くことを快適にするための取り組みとしてネットワークやデータを活用して、オフィスの安全性や省エネルギー化も実現する「SmartBuildingIntegration」の展示が行われていた。

SmartBuildingIntegrationは、ビルを統合的に監視して「安心・安全」「快適な空間」「省エネルギー」を実現するためのソリューション。ビルのさまざまな設備をつなぐことで、設備の問題を感知した際にすぐに通知したり、各種センサのデータを活用して快適で省エネルギーな設備の制御をしたりすることが可能なソリューションとなっている。

  • ビル管理のセンサのイメージ

    ビル管理のセンサのイメージ

今までオフィスでは、座っている位置によって、同じフロア内でも暑さと寒さの感じ方が異なるという問題が度々発生していたという。この問題に関して、フロア内の「ワーカーに近い至る所」にセンサを設置し、その値を元に空調を絶えずコントロールすることで、温度変化にも追従した制御が可能となる。

またこのような制御をAIが行うことで、より細かく、未来予測に基づいた制御ができ、快適かつ省エネルギーな運転をすることができる。レイアウト変更によって発生する構築当初に想定していなかった温度ムラにも対応できることが考えられるという。

AIで変わるオフィスの未来「smartbuildingintegration」イメージ動画

加えて、同ソリューションを活用することで、従来、現地の管理室でしか行うことができなかったビルの管理を遠隔から行うことが可能となることも特徴。複数のビルをまとめて管理することで検針などの管理業務の効率化を実現するという。

社員の居場所と利用状況を管理する「SmartOfficeNavigator」

内田洋行のICTを活用したソリューションはSmartBuildingIntegrationだけではない。

同展示内で紹介されていたオフィスワークナビゲーションシステム「SmartOfficeNavigator」は、オフィスで発生するデータやグループウェア上のデータ統合して、リアル空間でよりワーカーがオフィス空間を快適に便利に利用するための製品だ。

オフィス内に設置されるマップから、会議室やブースなどの設備の利用状況・執務エリアの混雑状況を視覚的に確認でき、タッチ操作で利用したい設備やエリアを探し予約することができる。

具体的には、BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム:ビル内で使用する電力の使用量などを計測し、可視化を図るとともに、空調や照明設備などを制御するエネルギー管理システム)などから取得した各オフィスフロアでのエネルギーの使用状況や会議室、執務エリアの利用状況を鑑みて、省エネのために他フロアへの移動を促すサインを出し、省エネに向けたワーカーの行動を促すという。

  • 展示会での「SmartOfficeNavigator」説明の様子

    展示会での「SmartOfficeNavigator」説明の様子

このSmartOfficeNavigatorには、さまざまな機能が搭載されており、「利用状況分析マップ」という機能では、マップ上にオフィス内で発生するヒト・モノ・場所のデータを統合しプロットすることで、管理者がオフィス内の機能をイメージしながらデータを用いたオフィスにおける課題を考察することができるようになる。

この利用状況分析マップの機能は、すでにオリンパスのグローバル本社でも採用されており、オフィス空間での人の居場所や多様な設備・機器の検索・予約をSmartOfficeNavigatorで統合管理しているという。

また「社員居場所検索」という機能は、オフィス空間が多様化し、社員が自由に働きたい場所で働けるようになったことの裏返しに、人とコミュニケーションを取りたい時に、どこに行けばその人と会えるのか分からなかったり、探すのに時間がかかったりすることがあるということや、社員が多様化するオフィス空間でどう働いているのか、利用状況を把握する必要が出てきたことを背景に開発されたもの。

社員のスマートフォンやPCの居場所をWi-Fiで探し出し、フロアマップ上に表示する機能やフロアマップからそのフロアに滞在している社員の一覧を表示させる機能などが備えられている。

利用状況をLEDライトで表示する「RoomSense」

3つ目に紹介するのは、会議室や打ち合わせスペースなど、ワーカーがリアルなコミュニケーションをする場の使い勝手を向上させる「SmartRooms」と「RoomSense」だ。

SmartRoomsは、主要なグループウェアとリアルタイムに連携する会議室予約・運用システム。SmartRoomsを活用することで、会議室の空予約をなくし、効率的な会議室の運用を行うことができるようになる。

  • SmartRoomsのイメージ

    SmartRoomsのイメージ

一方のRoomSenseは、予約せずに利用するWeb会議ブースや個席ブース、ミーティングコーナーなどの利用状況を可視化し、ブースの運用管理、利用実態の把握が可能なシステム。 利用状況をセンサが検知し、LEDライトで表示する。広いフロアの中に分散するブースでも、遠くから空いているかどうかを視認できるため、移動による無駄な時間を削減できるという。

  • SmartRoomsのイメージ 利用状況をセンサが検知し、LEDライトで表示する。

    SmartSenseのイメージ 利用状況をセンサが検知し、LEDライトで表示する。

内田洋行は、このようなICTツールの開発・提供を進めることで、利便性の高いオフィス作りに貢献していきたい考えだ。