【EC売上55億円超も成長継続】Ultimate Life 田中久登CMO「アンバサダー、ジム、新商品で今期も2桁増収へ」

「2024年はさまざまな施策を一気に進めていく」と話すのは、フィットネスブランド「グロング」をEC展開するUltimate Lifeの田中久登取締役CMOだ。同社は、2023年10月以降、販促やブランド展開、社内体制の強化など3つの戦略に取り組んでいる。2023年9月期のEC売上高は55億円。今年から投じる新たな施策がどのような変化をもたらすのか注目が集まる。

前期(2023年9月期)の業績は20%増の62億円だった。EC事業単体で見ると売上高は55億円となった。主力製品であるプロテインやアミノ酸の販売が好調に伸びたことが増収の要因だ。今期も第2四半期(2023年10月‐2024年3月期)を終えた時点で売上高は前年同期比10%以上のプラスで推移している。今期も計画通りの着地となりそうだ。

<3つの施策を展開>

2023年10月以降からいろいろな施策を同時並行で進めている。施策は「ブランド共通」「グロング」「グロング以外」の3つを進めている。

ブランド共通の取り組みとして、サプライチェーン(SC)の最適化を進めている。原材料の調達から物流、販売までのフローを内製化しつつ最適化している。

一例として、今期からSCM企画室を立ち上げて、全体の最適化を進めている。

次いで、買い求めやすさの強化を目的に販売チャネルの拡大を進めている。

EC以外の販路を広げ、ドラッグストアやホームセンターといったオフラインの流通チャネルも広げていく。2つ目のグロングブランド単体の施策は大きく3つ。

1つは、今年4月からアンバサダー制度を導入したことだ。当社のビジネスはD2Cモデルで、直接顧客とコミュニケーションが取りやすい。ただ、直接とはいえEC展開のため、生の声を聞くことは難しい。

アンバサダーと共に当社のファンを増やしていく。あくまで当社の商品を愛用しているユーザーをアンバサダーにして、ブランドを盛り上げていく。

<ジムも有効活用>

2つ目は今年4月に新設した24時間ジムの活用だ。

場所は本社から5分ほどの距離にある。ジムを利用するユーザーからの情報をもとに商品開発を展開していく。

例えば、当社が新商品として発売する前のサンプル配布や、すでに販売している商品をユーザーに使用してもらい改良に生かしていく。

3つ目は新商品という軸で、今年2月に新ブランド「デリシャスフィット」をローンチした。商品軸としては、プロテインが中心。すでに販売開始から1カ月で販売総重量2トンの流通規模になった。

デリシャスフィットに次ぐ新しいブランドの開発中も進行している。これらを中長期的な取り組みとして進め、さまざまな施策を投じて変化しつつ、企業の進化につなげていく。

【記者の目】

一点集中型の成長戦略で売上高60億円を築いてきた。今後は、中長期的に3つの施策に取り組んでいく。この施策のもと3~5年以内に売上高100億円の達成を描く。セールスが強い同社にとって、成長は鍵は組織力の強化にありそうだ。