「農家の直売所」運営の農業総合研究所、累計流通総額が1000億円突破 ECチャネルも拡大へ

全国の都市部を中心としたスーパーマーケットで「農家の直売所」を運営する農業総合研究所はこのほど、2007年の創業以来、累計での流通総額が1000億円を突破したと発表した。好調の理由として、主力事業である「農家の直売所事業」の着実な成長、「産直卸事業」の急成長、ドラッグストアなど販売チャネルの拡大を挙げた。

農業総合研究所は、「持続可能な農産業を実現し、生活者を豊かにする」をビジョンに掲げ、全国の都市部を中心としたスーパーマーケットで「農家の直売所」を運営している。

このほど、2007年の創業からの累計流通総額が1000億円を突破した。さらに直近の2024年8月期第2四半期の流通総額は38億を超え、四半期として過去最高を記録したと発表した。

好調の理由の1つ目には、創業以来の主力事業である「農家の直売所事業」の着実な成長を挙げた。同事業は、農業総合研究所が全国に設置した89の集荷拠点に生産者から直接、新鮮な農産物を集め、都市部のスーパーマーケット内に設置した「農家の直売所」コーナーに最短1日で届け、販売する独自の産直流通プラットフォーム事業となる。

ネット販売の普及などで農産物の流通形態は多様化しているが、79.3%の生活者が野菜の購入場所としてスーパーマーケットを挙げており、スーパーマーケットは農産物流通の圧倒的なメインストリームであり続けている。このメインストリームであるスーパーマーケットにおいて、「農家の直売所」は着実に数を増やしてきた。

創業当初は他に類をみないビジネスモデルだったが、着実に成果を積み重ねることで、大手スーパーマーケット、生産者、生活者からの信頼を醸成でき、現在の導入店舗数は全国の主要スーパーマーケットを中心に2000店舗を突破。登録生産者数も1万名を超えるなど順調に成長している。

【登録生産者数と店舗数の推移】

理由の2つ目には、農業総合研究所が生産者から直接農産物を買い取り、ブランディングし、スーパーマーケットの青果売場に卸販売で提供する「産直卸事業」の急成長を挙げた。2020 年の開始以来、2021年度は前年度比で840.2%、2022年度は前年度比142.5%、そして直近の2023年度は前年度比142.7%と著しく伸長している。

代表例の「世界農業遺産シリーズ」では、第1弾として「世界農業遺産」として認定されている阿蘇産のアスパラガスを「阿蘇パラ」の名称で、第2弾は笛吹農業協同組合(JAふえふき)から提供された山梨県笛吹市一宮町のプレミアムな桃を「山梨県 いちのみやの賜物(たまもの)」の名称でブランディングした。農業総合研究所のブランディングにより、世界に誇れる「日本の農業の価値」を多くの生活者に伝えることができた事例としている。

理由の3つ目には、ドラッグストアなど販売チャネルの拡大を挙げた。ライフスタイルの多様化などにより、近年はドラッグストアで食料品を購入する生活者が、着実に増えているとし、多様な生活者のニーズに応えるべく、ドラッグストアなど新たな販売チャネルの開拓を着実に進めている。

「農家の直売所事業」や「産直卸事業」のさらなる成長のための施策としては、「① 仕入力強化 」「② 物流機能の拡充」「 ③ ITプラットフォームの高度化」に取り組む。

仕入力強化では、全国の青果市場と連携し、販路、および産地を相互で活用することで、仕入力を大幅に強化。自社が培ってきた全国の産地との関係をさらに強固なものとし、産直卸事業でも仕入力を強化する。

物流機能の拡充において農業総合研究所はこれまで、全国に集荷場を開設し、物流センターの機能拡充により、都市圏向けの物流を拡大してきた。今後は「地域で生産された農産物が地域で販売・消費される」物流への構造転換を目指すおし、そのためにまずは全国の青果市場と連携強化し、仕入力を大幅に向上したうえで、全国各地に物流センターを増設していく

ITプラットフォームの高度化においては、これまで構築してきた生産者とスーパーマーケットをつなぐITプラットフォームを発展させ、生産者とスーパーマーケットに加え、青果市場もつなぐITプラットフォームへと発展させる。蓄積されたビッグデータを有効活用し、需給調整機能を高度化させるとともに、主要な流通チャネルを包括し、受発注業務をシームレスに行える、全国の農産物流通全体を支えるITプラットフォームへと進化を図る。

これら3つの施策に加え、ドラッグストア・コンビニ・ネットスーパー・ECなど新たな流通チャネルへの展開拡大や、米穀・花卉・農産物加工品といった取扱品目の拡大にも取り組んむ姿勢を見せた。

農業総合研究所 代表取締役会長CEO 及川智正氏は、「生産者様、スーパーマーケット様、お取引様、弊社をサポートしていただいているすべて企業様、そして生活者様のご協力のもと、起業17年で1000億円を達成することができました。改めまして、ここにお礼申し上げます。ありがとうございます。1000億円は、まだまだ通過点です。我々のビジョンである『持続可能な農産業を実現し、生活者を豊かにする』を実現するために、流通総額5000億円、そして1兆円を目指して頑張って参ります。引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます」とコメントした。