CIRPはこのほど、「iPhone US Smartphone Sales Share Continues to Decline」において、米国でのiPhoneのアクティベーションに関するレポートを発表した。これによると、過去4四半期にわたってスマートフォンの新規アクティベーションに占めるiPhoneの割合は減少を続けており、2024年3月末には33%まで低下したという。

過去1年間で7%減少

スマートフォンのアクティベーションは、ユーザーが端末を入手して最初に使用を始める際に必要な作業である。そのため、アクティベーションの動向を調べることで、各メーカーが新規で獲得したユーザーのシェアを把握することが可能となる。CIRPでは四半期ごとに全てのスマートフォンの新規アクティベーションを調べ、そのうちのiPhoneのシェアの推移を確認したという。

CIRPによると、iPhoneのアクティベーションシェアが全体の3分の1を達成したのが約6年前だったという。その後着実にシェアを伸ばし続け、2023年3月時点では40%を占めていた。しかし、その後は四半期ごとに低下を続け、2024年3月末時点の最新のデータでは6年前と同じ水準の33%となった。これは、米国で新規に使われるスマートフォンの約3分の1がiPhoneで、残りの約3分の2がAndroidであるということを意味している。

  • 新規アクティベーションに占めるiPhoneの割合の推移 出典:CIRP

    新規アクティベーションに占めるiPhoneの割合の推移 出典:CIRP

なぜシェアが減少したのか

このシェア減少の背景には、端末価格の上昇や、耐久性の向上、そして機能強化の鈍化が関係しているのではないかと、CIRPでは分析している。確かに、最近の新機種は価格が上がり続ける一方で、それに見合った新機能が提供されないという批判の声は多い。

別の要因として、スマートフォンの購入プランの透明化が進んだことで、買い替えを控えるユーザーが増えた可能性もあると指摘している。日本では、スマートフォンの回線契約の解約期間を制限するいわゆる「2年縛り」が総務省の主導によって実質的に撤廃されて久しい。アメリカでも同様に「2年縛り」が存在したが、日本と同様に近年では撤廃されつつある。これがユーザーの買い替えサイクルに影響を与えているというわけだ。

アクティベーションのシェアはあくまでもユーザーが新規に使い始めた端末のデータであるため、実際のアクティブユーザー数におけるiPhoneのシェアはもっと高い可能性がある。それでも、新規の販売実績にリンクするアクティベーションのシェアの減少は、Appleにとっては無視できない動向と言えるだろう。