Gartnerは4月24日、生成AIへの過度な依存は顧客離れを引き起こすとの見解を発表した。企業や組織のリーダーにはデジタルを前提とした新たな取り組みに本気で取り組む覚悟が求められるという。

生成AIへの過度な依存は顧客離れを引き起こす

生成AIの登場により、デジタル関連の取り組みに対する期待が高まっているが、生成AIはアウトプット(応答)の信頼性など未成熟な状況にあり、また、そのアウトプットの信頼性や倫理性などに関する懸念もあることから、利用する際には第三者の視点で評価する必要があるという。

Gartnerのバイスプレジデントアナリスト池田武史氏は「今後、生成AIを顧客対応のツールとして採用を試みる企業は確実に増えていく。しかし、人間による対応とは異なり、生成AIは相手の機嫌や感情を適切に感じ取って態度を変えるような機能まではまだ十分に備えていない。企業が顧客向けのサービスを提供する際には、人間が直接対応しているのか、それとも生成AIによる対応なのかを明示して、ユーザーの期待値をコントロールすることが重要」と述べている。

生成AIをはじめとしたデジタルシフトには、大きな変革が含まれる。これは、ビジネスプロセスの改善にとどまらず、業界全体や公共サービスまで含めたエコシステムの変革を必要とし、顧客やパートナーを巻き込む戦略的アプローチが不可欠だという。

例えば、スマート・シティやスマート・マニュファクチャリングの実現には、テクノロジーの導入だけでなく、制度やルールの変更、新たな業界エコシステムの構築など自社や組織の利益を超えた取り組みが求められることから、チャレンジが継続しない、テクノロジがなかなか浸透しないといった例が多く見られるという。

なおGartnerが2023年に実施した調査では、イノベーション推進に取り組む企業の半数以上が、推進部門と事業部門との間で既に軋轢が生じている、あるいは今後そうなると回答しているという調査結果も出ている。