さくらインターネットは4月19日、2027年12月末までに、同社が手掛ける生成AI(人工知能)向けクラウドサービスに約1000億円を投じ、「NVIDIA HGX B200 システム」をはじめとする最新のGPUを約1万基搭載する計画を発表した。合計約18.9EFLOPS(エクサフロップス)の計算能力が整備されるとのことだ。
同社は15日、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資である「クラウドプログラム」の供給確保計画に関する経済産業省の認定を受けた。2023年6月にも同認定を受けており、今回の認定は2回目となる。130億円規模を投じて最新GPUを2000基搭載するという初期の計画は前倒しで進められており、2024年6月末までに完了する予定だ。
また、今回発表した計画の1000億円のうち214億円を2024年度内に投資する。GPU サーバに加えて専用水冷ラックやネットワーク機器に充てる。経済産業省からの認定により投資額の半分の助成を受ける予定で、その資金調達に関しては、自己資金や金融機関借入、株式市場からの調達などさまざまな手段を現在複合的に検討しているとのことだ。
さくらインターネットの生成AIクラウドサービス「高火力」は北海道の石狩データセンターで提供される。同データセンターは、北海道の冷涼な外気を活用した外気冷房および水力発電を中心とした再生可能エネルギー電源100%のCO2排出量ゼロを実現するという。
国内のAIインフラ市場規模は、IDC Japanによると、2022年から年間平均成長率16.6%で推移し、2027年には1615億5000万円になると予測されている。さくらインターネット 代表取締役社長の田中邦裕氏は、「日本でもAIアプリケーションを自社開発している企業はあるものの、いずれも規模が小さく、加えてそれを支えるAI基盤についても十分ではない。すべてのレイヤーにおいて大規模な投資を行える企業が生まれることが必要不可欠だ」とコメントしている。