果物の加工や菓子の製造販売を行う日本果汁は、立ち上げたばかりの自社ブランド「オランジェット」の売れ行きが好調だ。2024年2月に百貨店に販路を絞って展開し、用意した約10万セットが完売となった。SNSでも反響があり認知拡大にも成功した。
同社はこれまで業務用の卸販売やOEMが主力事業だった。生産者との関わりの中で拡充してきた柑橘類のラインアップを生かし、自社商品を展開するため、一般消費者向けの商品開発に着手した。
オリジナルスイーツ「オランジェ」は、数多く取り扱う柑橘とチョコレートの相性にこだわって開発した。この商品が百貨店の利用者層にもマッチした。「果物の銘柄を知っているユーザーが多かった。商品への感度が高い客層だった」(河野社長)と分析する。
▲河野聡社長
2024年にスタートしたECサイトには、リピーターが多く訪れている。「百貨店での販売の際に購入したユーザーのほか、SNSで反響を呼んだことで何度も購入する人が多い。約9割がリピーターという状況」(同)と話す。
サイトでは、商品のこだわりを訴求するため、生産者の顔が見えるような仕組みも取り入れた。「産地や商品のバックグラウンドに焦点を当て、ユーザーに愛着を持ってもらえるようにしたい。安売りではなく、付加価値を訴求して、生産者と当社がウィンウィンになるようなPRを進めていきたい」(同)としている。
今後は、自社ECサイトを拡充して、一般消費者への商品販売を強化していく方針。「売り上げの半分を一般向けの商品にしていきたい。販路として4サイトのルートを設けたいと思っている」(同)。このほか、海外展開や新商品開発も視野に、準備を進めている。
さらに河野社長は「2025のバレンタインデーでは、今年の5倍以上の販売実績を作りたい」と目標を語った。