電通は3月29日、視覚障がい者の目の見え方を可視化するツール「VISIONGRAM」を同日よりWebサイト上で一般公開したことを発表した。誰でもスマートフォンやPCの画面上に再現された視覚障がい者の見え方を体験・共有することができるため、障がい者と健常者の相互理解を促進するという。
同社は、VISIONGRAMの一般公開を通して、障がいの有無に関わらず、すべての人が暮らしやすい社会の実現に向けた支援を行いたい考え。
VISIONGRAMの概要
同サービスは、視覚障がい者の目の見え方を可視化するツール。Webサイト上で入力した障がい者本人の視力の数値や検査データをもとに視界をドットデザインに変換し、それぞれの「視力」「視野」「色覚」を、ドットの数・密度・色の違いで再現した独自のデジタルフィルターを生成する。
スマートフォンやPCのカメラを通じて、誰もが視覚障がいの見え方を体験できると同時に、視覚障がい者本人も、自身の見え方をより簡単に伝える事ができるようになる。また、再現したデジタルフィルターのデータをQRコードやURLでシェアすることも可能。
サービス開発の背景
同サービスは、開発を担当したクリエイティブチームが、視覚障がい者アスリートとの会話を重ねる中で、視覚障がいと一言でいっても、一人ひとり見え方に違いがあることや、見え方を互いに共有できないことで生じるさまざまな誤解などに着目したもの。
それぞれの見え方を可視化することで、新たなコミュニケーションを生み出し、障がい者と健常者の相互理解を促進したいとの思いで開発されている。
電通は、同サービスの一般公開をきっかけに、子どもが視覚障がい者の見え方を体験できるインクルーシブ教育や、特別支援学級・学校での生徒支援、医療現場でのコミュニケーションツール、視覚障がい者アスリートの指導・育成支援での使用といった新たな活用法を模索していきたい構え。
また同社は今後も、さまざまなソリューションの開発と普及を通じてダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)を推進し、インクルーシブな社会の実現を支援していく構え。