国内電通グループの4社(CCI、電通、電通デジタル、セプテーニ)は3月12日、電通が2月27日に発表した「2023年 日本の広告費」の調査結果から、インターネット広告媒体費の内訳を広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、2024年の予測を加えた「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を公表した。インターネット広告費は3兆3,330億円と過去最高で、日本の総広告費全体の45.5%を占めた。

  • インターネット広告媒体費の広告種別構成比

    インターネット広告媒体費の広告種別構成比

このレポートは、CARTA COMMUNICATIONS(CCI)、電通、電通デジタル、セプテーニの4社が2023年12月~2024年2月、インターネット広告媒体社やプラットフォーマーなどを対象に実施したアンケート調査「2023年(令和5年) 日本の広告費 インターネット広告媒体売上についてのお伺い」 として実施や追加ヒアリング調査、および各種データ収集・分析に基づく。

2023年の日本の広告費は前年比103.0%の7兆3,167億円で、1947年の推定開始以降、前年に続き過去最高を更新したという。その中でインターネット広告費は3兆3,330億円(前年比107.8%)と過去最高となり、日本の総広告費全体の45.5%を占めたという。インターネット広告費からインターネット広告制作費および物販系ECプラットフォーム広告費を除いたインターネット広告媒体費は、ビデオ広告やデジタル販促の成長により、前年比108.3%の2兆6,870億円となった。

広告種別では、検索連動型広告が前年比109.9%の1兆729億円となり、推定開始以降はじめて1兆円を突破。インターネット広告媒体費に占める構成比は39.9%となった。インターネット広告媒体費を取引手法別で見ると、運用型広告は前年比110.9%の2兆3,490億円で、インターネット広告媒体費に占める構成比は87.4%。予約型広告は前年比100.0%(2022年:2,647億円、2023年:2,648億円)とほぼ横ばいで、成果報酬型広告は前年比75.8%と減少したという。

  • インターネット広告媒体費の取引手法別構成比

    インターネット広告媒体費の取引手法別構成比

広告種別×取引手法別では、運用型の検索連動型広告がインターネット広告媒体費全体に占める構成比が最も高く39.9%、次いで運用型のディスプレイ広告が25.8%、運用型のビデオ(動画)広告が21.5%。ビデオ(動画)広告は、運用型が前年比117.2%、予約型が前年比109.1%といずれも伸長した。

  • インターネット広告媒体費の広告種別×取引手法別構成比

    インターネット広告媒体費の広告種別×取引手法別構成比

ビデオ(動画)広告の内訳は、動画コンテンツの間に挿入されるインストリーム広告が3,837億円(構成比55.9%)、ウェブ上の広告枠や記事のコンテンツ面などで表示されるアウトストリーム広告が3,022億円(構成比44.1%)であった。また、取引手法別では運用型広告が84.4%を占めた。ビデオ(動画)広告は、前年比115.9%の6,860億円と広告種別の中で最も高い成長率となった。内訳は、インストリーム広告が3,837億円、アウトストリーム広告が3,022億円。

  • 左:ビデオ(動画)広告の広告種類別構成比/右:ビデオ(動画)広告の取引手法別構成比

    左:ビデオ(動画)広告の広告種類別構成比/右:ビデオ(動画)広告の取引手法別構成比

ソーシャルメディア上で展開されるソーシャル広告は、前年比113.3%の9,735億円で、インターネット広告媒体費に占める構成比は36.2%となり、前年よりも1.5%高まった。「SNS系」「動画共有系」「その他」に分類すると、SNS系が4,070億円(構成比41.8%)、動画共有系が3,372億円(構成比34.6%)となり、合わせて76.4%を占めた。

  • 左:ソーシャル広告の構成比推移/右:ソーシャル広告の広告種類別構成比

    左:ソーシャル広告の構成比推移/右:ソーシャル広告の広告種類別構成比

インターネット広告媒体費は2024年も拡大し、前年比108.4%の2兆9,124億円になると予測。また、ビデオ(動画)広告市場は2024年も二桁成長を維持し、前年比112.2%の7,697億円になると予測した。アウトストリーム広告とインストリーム広告はほぼ同等の成長が見込まれるという。

  • 左:インターネット広告媒体費総額の推移(予測)/右:ビデオ(動画)広告市場の推移と予測

    左:インターネット広告媒体費総額の推移(予測)/右:ビデオ(動画)広告市場の推移と予測