eBay、2023年の越境ECトレンド公開 「自動車パーツ」「デジタルカメラ」など高成長

世界最大規模のオンライン・マーケットプレイス「eBay(イーベイ)」への出店を通じ、日本セラーの越境ECを支援するイーベイ・ジャパンは3月7日、2023年の年間(1~12月)に、日本セラーから出品されたアイテムの販売動向をランキング形式で発表した。ポストコロナでも「eBay」における日本からの販売は2桁成長を達成し、「真贋鑑定 配送サービス」日本センター設立、独自の配送サービス、多国展開など日本の成長に期待する投資が加速した。取引額首位はアパレルやアクセサリーなどのラグジュアリー商材が不動の人気を見せた。成長率1位は「自動車パーツ」、2位には「デジタルカメラ」がランクインした。

イーベイ・ジャパンは、2023年の「eBay」における日本からの越境EC取引に関するデータを「2023年間 越境ECレポート」として公開した。

カテゴリーランキングの「取引額TOP10」は、1位が「レディース アパレル&バッグ、ブランド小物」、2位が「時計・パーツ&アクセサリー」、3位が「アニメアート&キャラクターグッズ」だった。

1位の「レディース アパレル&バッグ ブランド小物」、2位の「時計・パーツ&アクセサリー」は前年から変わらず、ラグジュアリー商材が安定的にトップ2を占める結果となった。ブランドバッグについては、プロによる商品鑑定サービス「eBay真贋鑑定・配送サービス 日本センター」が2023年にオープンしたことも追い風になっているとし、同サービスは2024年内に全セラーへ対象を拡大する予定だ。

「取引額TOP10」のうち、前年同期比で大きく成長したカテゴリーの成長率ランキング「成長率TOP3」は、1位が「自動車パーツ」、2位が「デジタルカメラ」、3位がトレーディングカードだった。

前年3位だった「自動車パーツ」がさらに大きく成長を見せ1位を奪取した。。続く「デジタルカメラ」も2022年から着実に市場を拡大させている。「トレーディング」は2021年に取引が急拡大して以降は安定した市場となっていたが、再びトップ3に食いこむ成長をみせた。

【カテゴリー別のトレンド】

2023年に日本から多く売れた商品や注目度の高い商品をイーベイ・ジャパンの各カテゴリー担当者がピックアップした。

<ファッションカテゴリー>

・イーベイ・ジャパン カテゴリーマネージメント部 カテゴリーマネージャー 北爪紀子氏

1年を通してオフラインマーケットでラグジュアリー関連が最高収益を更新する中、前半は低調なUSオンラインマーケットの影響で苦戦を強いられましたが、後半はUSのマーケットトレンドに合わせたクーポン施策等で堅調に推移しファッションカテゴリー全体では前年比7%で着地しました。

主力の2カテゴリーは引き続きウィメンズバッグ、時計と年間を通して変わらず、前年比+5%で推移する中、続くメンズバッグが+24%、ファインジュエリーが+38%と大きく売り上げを伸ばしました。

ブランドでは引き続き、「エルメス」「ルイヴィトン」「シャネル」「ロレックス」「オメガ」が売り上げを牽引する中、「ヴァン クリーフ&アーペル」「カルティエ」を軸とした高級ジュエリーもシェアを上げました。

【ハンドバッグ】

昨年12月には、ラグジュアリーブランドのハンドバッグ&財布を安全にお取引頂くための無料(一部バイヤー負担で有料)の「eBay真贋鑑定・配送サービス 日本センター」が国内にオープン。プロの鑑定士により商品を鑑定、また商品状態をチェックすることでバイヤーは安心して商品を購入でき、また返品が発生した際も販売時同様の鑑定を受けるため、問題のある商品の返品を防ぎ、セラーにも多くのメリットがあるサービスで、2024年にはパイロットセラーからすべてのセラー様に拡大を予定しております。

【スニーカー】

売上を牽引するのは「ナイキ」で約3割強のシェアとなる中、日本セラー特有のブランドとして「アシックス」「オニツカタイガー」「ミズノ」がTop5内にランクイン。3ブランドで全体のスニーカーの売上額の3割弱を占めています。

<コレクティブルズカテゴリー>

・イーベイ・ジャパン カテゴリーマネージメント部 コレクティブルカテゴリーマネージャー 市田良介氏

【アニメグッズ】

やや苦戦のスタートではあったものの、年末商戦期である11月~12月期は、売上が大きく伸長(+11.8%増)  これは、日本郵便の「Small packet」が11月に再開した影響および、多国展開ツールである「eBaymag」を通してヨーロッパなどのUS以外のサイトでの売上が向上した点が挙げられます。

コレクティブルズカテゴリー情報をメールにて発信する「eBay Collectors」を開始し、その中でも第3四半期後半からレゴ商品において多く焦点を当てました。その結果、昨対比+34.1%と伸長しました。まだまだ小さなカテゴリーではありますが、本年度も注目のカテゴリーの1つです。

【トレーディングカード】

25.8%増と急成長を見せました。第1四半期は鈍化傾向だったものの、第2四半期に昨対比+53%、第3四半期には、+54%と大きく伸長しました。増加の要因として、2023年6月16日に発売された「ポケモンカード151」の影響力が大きく、今なお売れ続けています。

ポケモンカード以外でも「ONE PIECE」のトレカの伸びが目立ち、2022年度と対比すると、5倍近く伸長しました。リリースされてまだ短いトレカではありますが、今年3月に初の世界大会が日本で開催されることもあり、出品点数に比べ売上はポケモンカードの次に大きなカードシリーズとなっています。また、今年は「遊戯王カード」が2024年2月に25周年を迎えるため、遊戯王も目が離せません。

<自動車パーツ・カメラ・楽器カテゴリー>

・イーベイ・ジャパン カテゴリーマネージメント部 カテゴリーマネージャー 古谷まゆみ氏

【カメラ】

2022年までは特にフィルムカメラが多く購入されている傾向にあったものの、昨年はデジタルカメラの需要がそれを上回る勢いで高まっていることを実感した1年でした。ついにはデジタルカメラが伸び率2位で前年比42.6%にまで成長。

中古カメラを買うなら日本から、というイメージがバイヤーの間で根付いているようで、US以外のオーストラリア、UK、ドイツ等の「eBay」の各主要サイトでもフィルムカメラ、レンズ、デジタルカメラの3つのカテゴリーが10位以内にランクインしています。特にコンパクトカメラは海外需要が急激に上がったことで売上が前年の2倍に膨れ上がっています。

また、SigmaやFujifilmのマニュアルフォーカスレンズの需要が急速に高まっているのに対して日本からの供給にまだまだ伸びしろがある状況なため、今年はUSのタックスリターン期に更なる盛り上がりが予想されます。

引き続き「多国展開」と「デジカメを中心とした売れ筋商品の供給」がポイントにカメラカテゴリーの成長が期待されます。

【自動車パーツ】

昨年第2四半期、第3四半期と成長し続けていた「自動車パーツ」ですが、昨年1年間でついに伸び率第1位、前年比+50.3%という凄まじい伸びを見せました。過去5年間で5倍、2年前からも2倍の市場規模にまで成長しており、2024年に入った今も年始から更なる盛り上がりを見せている状況です。

新品のメーカー純正部品が販売商品の多くを占めるという状況は長らく変わりませんが、出品商品のバラエティが豊富になっている点が昨今の注目ポイントです。例えば、メインのUSサイトでは軽トラック関連部品の日本からの売上が2022年から2023年の1年間で約3倍の規模に拡大しています。

その他のサイトにも面白い傾向が見られ、オーストラリアサイトではHKSやBRIDE、Cuscoなど著名なアフターマーケットパーツが、UKサイトではYAMAHAやKAWASAKI等のバイクパーツが自動車メーカー純正部品に名を連ねて人気となっています。右肩上がりに高まり続ける北米を中心とした需要の高さと、それに応えるように増えている日本の販売者数と供給量の増加を考えると、2024年も自動車パーツは伸び率上位を維持した状態で売れていくことが予想されます。

【スポーツ用品】

スポーツ用品市場は昨年中盤から今日に至るまで順調な成長を続けており、2023年には前年比23%の成長を達成しました。特に目覚ましいのはゴルフ用品市場で、昨年比で53%もの成長を見せました。この急激な成長の背景には、ゴルフが従来の高尚なスポーツから、よりカジュアルなスポーツへとシフトしていることが挙げられます。その結果、世界中の若者層におけるゴルフ人気が急速に高まっていると考えられます。

<2024年注目のカテゴリー>

【日本のアンティーク】

世界に誇る伝統文化である「日本のアンティーク」は、根強い人気があります。とりわけ日本独自の文化である「侍」は非常に人気が高いジャンルです。職人の減少もあり、希少価値も高くなりつつある日本のアンティーク商材。インバウンドも回復基調の傾向があり、日本の文化に触れる訪日外国人も増え、さらに人気が高まると予想しています。

【レゴ】

「レゴ」は日本に上陸して歴史も長く、子供の頃遊んでいた方も多いのではないでしょうか。レトロなものから新発売のものまで幅広く販売されています。アメリカではすでに在庫切れになっている人気シリーズや過去の人気なレトロレゴは高値で取引されています。まだまだ日本から出品点数はそこまで多くありませんが、「eBay」では需要が高いジャンルの1つです。

【ホーム&ガーデン】

「ホーム&ガーデン」では包丁などのキッチン用品、またインパクトドライバーなどの工具など日本の技術が光る有名メーカーが活躍するカテゴリーがありますが、浄水器のフィルターなど海外では購入できない根強い人気がある消耗品なども注目の商品となります。

<2023年の振り返りと今年の展望>

・イーベイ・ジャパン カテゴリーマネージメント部 部長 北村直樹氏

2023年度は、為替の安定やコロナ禍の終息によるインバウンド観光の復活など、越境ECにとって大きな追い風となる外的要因が少なく厳しい状況でした。一方、そうした中でも、「eBay」における日本からの販売額は2桁成長という目覚ましい成長を遂げ、2024年に入っても安定した好調をキープしています。また、公式の多国展開ツール「eBaymag」の本格的導入により、前年比でヨーロッパ向け+21%、注目の高かったオーストラリア向け+19%の売上金額の伸びを見せ、販売者にとって新たな市場開拓の助けとなりました。

今年もアメリカ大統領選挙などの状況変化が予想されますが、社会に根付いたサステナビリティ意識の更なる高まりや、円安による外国人旅行者の増加に伴う日本製品への需要増など、追い風が期待される要因が大いにあります。

本年の展望としては、「Authenticity Guarantee(真贋保証サービス)」の取り扱いカテゴリーの拡大や、「eBay」独自の配送サービスである「SpeedPAK(eBay公式物流サービス)」でのロジスティクスのサービス拡充を予定しており、これらのイニシアティブを軸として更なる市場拡大を進めてまいります。