GITAIとKDDIは3月6日、ロボットで基地局アンテナを設置する実証を2023年12月7日に実施し、成功したことを発表した。ロボットのみで設置可能な基地局の支柱やアンテナを新たに試作し、あらかじめ設置していた支柱にGITAIローバー(探索車)がアンテナを運搬。GITAIのアーム型ロボットがアンテナを支柱頭頂部に設置してケーブルに接続し、通電に成功したとのことだ。
月面を模した実証環境
NASAやJAXAなど世界各国の宇宙機関により月面探査の取り組みが進められる中、月面で船外活動を実施する宇宙飛行士や月面を走行する有人ローバーからの高画質リアルタイム映像伝送など、高速大容量な通信環境の構築が求められている。
その一方で、月面は放射線量が地球上の200倍、気温がマイナス170度から110度まで変化するなど過酷な環境であり有人での基地局設置が難しく、ロボットによる無人での基地局設置が必要となる。
そこで両社は、基地局を無人設置するための手法の検討および無人設置可能な機器の開発を目指して実証実験を実施し、今回の実証を通じて得た知見を基に月面モバイルネットワーク構築を目指すとしている。
実証の手順
まず、月面模擬環境にあらかじめ設置していた5メートルの支柱まで探査車がアンテナを運搬する。2台のアーム型ロボットがアンテナを支柱頭頂部まで持ち上げ、支柱に接続する。その後、探索車に接続されている別のアーム型ロボットがアンテナのケーブルを接続し、通電。さらに、アーム型ロボットにてケーブルおよび支柱頭頂部のアンテナを取り外しまで実施した。