富士通と新潟県佐渡市は2月28日、こども家庭庁が進める「こどもデータ連携実証事業」において、配慮や支援を必要とするこどもと家庭の早期発見を目指し、教育・保育・福祉・医療などの分野を越えたデータ連携とAIによる分析実証を開始することを発表した。

取り組みの内容

佐渡市庁内の部局をまたがる教育・保育・福祉・医療などのデータを、法令を遵守しつつプライバシー保護にも配慮して取得し、こども統合データベースを構築する。このデータベースと富士通の説明可能なAIである「Wide Learning」を活用して対象者ごとに支援が必要となる可能性を分析し、専門的な知見を持つ職員が分析結果を参考に支援要否を判断する。

なお、実証はアウトリーチ型の支援を目指し、各種データの連携とAIを活用するとともにAIによる判断支援の有効性についても検証する予定だ。

  • 実証の概要図

    実証の概要図

実証の背景

佐渡市は2022年5月に富士通Japanとデジタル化推進に向けた包括連携協定を締結しており、市全体の総合的なデジタル化を推進してきた。そのデジタル化の一環として、2023年4月に佐渡市が今回の実証に応募し採択され、富士通が参画した。

佐渡市は2020年3月に策定した「第2期佐渡市子ども・子育て支援事業計画」において、配慮を必要とする子どもや家庭への支援体制づくりを基本目標の一つに掲げ、地域や教育機関、医療・保健・福祉関連機関と緊密に連携し支援を進めている。こどもや家庭への支援は当事者や関係者からの相談や通報が前提であり、支援を必要とするこども・家庭の発見の遅れと事案の深刻化が課題となっていたそうだ。