2月20日から21日まで、東京ビッグサイトで開催されているロジスティクスソリューションフェア2024。同展示会は、目前に迫った「2024年問題」への対応に加え、その後を見据えた長期的な視点での取り組みが求められるロジスティクス・物流の分野における情報交流の場として開催されている。
本稿では、同展示会に出展しているNECのロジスティクスイノベーションに関するサービスと同社の2024年問題を始めとする物流課題に対する取り組みを紹介する。
「働き方」と「サプライチェーン」で物流問題の解決を目指す
NECでは、2024年問題や物流現場における人手不足の深刻化などを背景に、「遠隔で空間を超えて働き方を変える」「企業の枠を超えてサプライチェーンを変える」という2つの軸からさまざまなソリューションを展開している。
今回の展示会では、「Beyond with NEC Logistics Platform」をテーマに、NECが目指すロジスティクスの姿から、企業間の調整・最適化を行う共同輸配送など物流リソースのシェアリングを実現するサービス、自律・遠隔により物流現場を進化させるロボット制御まで、最新のソリューションを紹介していた。
展示会では9つのソリューションが紹介されていたが、本稿では、遠隔で空間を超えて働き方を変えるソリューションとして展示されている「協調搬送ロボット」と、企業の枠を超えてサプライチェーンを変えるソリューションとして展示されている「共同輸送プラットフォーム」の2つを紹介する。
遠隔で空間を超えて働き方を変える「協調搬送ロボット」
今回新しいサービスとして紹介された協調搬送ロボットは、2台のロボットがセットとなり、ユニットロード(カゴ車、平台車などの荷物搬送機器)を挟み込む形で搬送を行うサービスだ。
同サービスは、倉庫の天井部に設置したカメラとセンサから得られる情報を集約し、複数のロボットを一括して制御することが可能なもので、加えて障害物を避けた最適な運搬経路を自動検索できることから、人との接触事故リスクも軽減することができるという。
さらに、物量の増加に合わせ、庫内レイアウトの変更や、ロボットの増設などにも容易に対応することができるという特徴を持ち合わせている。
同サービスを導入することにより、人の手間を掛けずに、止まらない自動搬送の実現が期待できるという。特に、倉庫・物流業、製造業、卸売業、小売・サービス業といった、ロボットによる現場作業の自動化を進めたい顧客をターゲットに展開を進めていく方針とのこと。
なお、使用方法としては以下の通り。スタートエリアに荷物を配置すると、近くのロボットが呼び出され自動で搬送が開始。ゴールエリアに到着すると荷物を自動でリリースするという仕組みとなっている。
企業の枠を超えてサプライチェーンを変える「共同輸送プラットフォーム」
展示内で、企業の枠を超えてサプライチェーンを変えるソリューションとして紹介されている共同輸送プラットフォームは、業種や業界を超えた共同輸送を推進するためのサービスだ。
NECは同プラットフォームを通じて、積載率向上による物流網の維持向上、カーボンニュートラルに向けたCO2排出量削減により、サステナブルなサプライチェーン構築を目指す構えだという。
サービス内容としては、似た輸配送条件の複数企業を最適化してグルーピングする「グルーピング」機能、グループ内で最も効率の良い輸配送プランを策定する「プランニング」機能、各社リソース状況を共有スペース単位でのシェアリングを行う「オペレーション」機能が用意されている。
特にプランニング機能には、同社の「自動交渉AI」という、最小限の商流情報を活用し、調整や交渉を人の代わりにAIが行うという技術が組み込まれており、同技術が物流配送の経路調整や納期調整などが行われている。
また同社は2023年9月に、同サービスを活用して複数企業の荷物を同一トラックで運ぶ共同輸配送の取り組みを容易かつ効率的に実現するため、デジタル技術を活用した共同利用型のサービスプラットフォームの運用実証を開始させている。
同実証には、花王、日通NECロジスティクス、三井倉庫サプライチェーンソリューション、横河電機などを始めとする10社が参加しており、2024年3月まで実証を続ける予定だという。
同社は、引き続き実証に参加する企業の募集を進めつつ、2024年度中にサービスの本格リリースを目指す予定としている。