東京ガス(笹山晋一社長)が過去最大級の買収に踏み切る。
同社の100%子会社・東京ガスアメリカ社が出資するTGナチュラル・リソーシズ社(以下、TGNR社)を通じて、シェールガスの開発を手掛けるロッククリフ・エナジー社の全株式を取得。取得金額は約27億ドル(約4050億円)、同社にとって過去最大級の買収だ。
ロッククリフは米国テキサス州・ルイジアナ州における天然ガス開発・生産事業会社。今回の株式取得により、TGNR社が保有する天然ガス・天然ガス液(天然ガスから分離・回収された液体炭化水素)の生産量は約4倍になる。
東京ガスアメリカ社社長の犬飼朗氏は「TGNR社が鉱区を保有するテキサス州・ルイジアナ州エリアは、今後の天然ガス需要増が期待される新設LNG輸出基地等に近接しており、新たな優良資産の取得を模索していた」とコメントした。
2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現など、世界は脱炭素に向けて走り出した。しかし、ロシア・ウクライナ戦争の影響もあり、各国が足元のエネルギー確保を優先。天然ガスの需要が急増しており、エネルギー業界関係者は「CO2(二酸化炭素)削減に貢献できる天然ガスの果たす役割はまだまだ大きい」と強調する。
米国では、石油メジャーのエクソンモービルがシェール大手パイオニア・ナチュラル・リソーシズを約600億ドル(約8.8兆円)で、シェブロンが米石油会社ヘスを530億ドル(約8兆円)で買収すると、相次ぎ発表。東京ガスの買収も、こうした流れの一環だ。
中長期的な脱炭素への移行は必須だが、足元のエネルギー確保も大事。今後もしばらくは需要拡大が予想されるなど、改めて、天然ガスの存在感が高まっている。