Google、Microsoftなど米国のテック企業が相次いでレイオフを発表した2023年、ゲーム開発者も解雇の通知が来ないかと怯えていたようだ。Game Developers Conference(GDC)が1月に発表した年次調査から明らかになった。
半数以上が今後1年間でのレイオフを懸念
GDCの年次調査「2024 State of the Game Industry」は、GDCが3月に開催する年次カンファレンス「Game Developers Conference(GDC)」に先駆けて公開する調査。今年は2023年10月に、約3000人のゲーム開発者を対象にゲーム業界の現在を知るべく調べた。
調査からは、レイオフ、生成AI、ゲームエンジンなどのキーワードが浮かび上がった。 レイオフについては、大手のEpic Gamesが2023年に従業員の16%を対象としたレイオフを明らかにした。今年に入ってからは、Unity Softwareが25%、Riot Gamesが11%のスタッフの削減をそれぞれ明らかにしている。
調査に回答したゲーム開発者の3人に1人(35%)がレイオフの影響を受けた(レイオフされたり、自分のチームや企業でレイオフが行われた)と回答。実際にレイオフされたのは7%、業務の中でも影響が最も大きいのはQAエンジニア(製品、サービスが仕様・要求に合った動作をするかの確認や製品の品質管理を行うエンジニア)で、22%がレイオフされたという。
また、56%が今後12カ月でレイオフがあるのではないかと心配していると述べ、レイオフについて懸念がないという開発者は3分の1となっている。
ゲーム業界におけるレイオフに繋がる要因としては、パンデミック以降の軌道修正、スタジオの統合、経済的な不透明性などがあると推測。合わせて、労働者を保護する労働組合の必要性を感じているという回答もみられたようだ。
一部の開発者はUnityから乗り換え
生成AIについては、混在した回答が出ている。事業、マーケティング、プログラミングなどの部門の人は生成AIをはじめとしたテクノロジーは良い影響を与えるとみている人が多かったが、ナラティブ(ストーリー構成など)、QA、ビジュアルアートなどの分野はネガティブなイメージを持っていることが分かった。
業界の多くは、生成AIがどのようなインパクトを与えるのかの全貌が「まだわからない」とみているが、倫理への影響は必ず出てくると考えているようだ。84%が生成AIの使用についての倫理について「ある程度/非常に懸念している」と回答した。合意なしに自分たちのゲームからデータスクレイピングされるといった懸念が聞かれたようだ。生成AIの使用については、個人的に使っているという回答者が31%だった。
ゲームエンジニアの調査では、使用しているゲームエンジンとして最も多かったのは「Unreal Engine」と「Unity」、33%がこの2つを「主要なツールセット」とした。その次に多かったのは、オープンソースの「Godot」。
2023年はUnityが「ランタイム料金」を発表し、論議を呼んだ。ゲームのインストール数に応じて課金をするというもので、Unityは修正案を打ち出している。
また、一部開発者がUnityからの乗り換えを考えていたことがわかった。約3分の1の回答者が「この1年の間にゲームエンジンの乗り換えを検討した/乗り換えた」と述べている。
マーケティング側では、2023年に「X」としてスタートした旧Twitterの変更への戸惑いも明らかになった。Xはゲームのマーケティングで最も使われているツールとなった(76%が「Xをマーケティングに使用」と回答)一方で、プラットフォームとしてのXについては、97%が否定的な見解を示している。