日本の成長の一翼を担う施設として
東京の「都市競争力」強化に向けた新施設が相次ぎ開業─。
11月24日、森ビルは東京・港区で新たな複合施設「麻布台ヒルズ」を開業した。この街のコンセプトは「モダンアーバンビレッジ」、「グリーン&ウェルネス」。
「グリーン」では8.1ヘクタールの敷地に2.4ヘクタールの緑を確保。また、「ウェルネス」では慶應義塾大学予防医療センターが拡張移転。森ビル社長の辻氏は「これらはコロナ前につくったコンセプトだが、コロナ禍と今の環境問題を受けて、結果的に最先端のテーマとなった」と話していた。
1989年に街づくり協議会が発足してから35年、約300人の権利者とともに進めてきた再開発。その結果、オフィス、住宅、ホテル、商業、文化、教育、医療など多様な都市機能が高度に複合した街が完成。
辻氏はこうした街づくりへの思いを「世界の人から選ばれる都市にならないといけない」と、人口減の日本経済にとっても重要だという認識を示す。
「100年に1度と言われる渋谷再開発で、駅中心地区のラストピース」と話すのは東急不動産社長の星野浩明氏。
東急不動産は23年11月30日、渋谷駅直結の複合施設「渋谷サクラステージ」を開業した。線路と国道による街の分断を解消、歩行者デッキの整備で高低差を解消するといった、渋谷が抱えていた課題に応える施設。
また、渋谷駅中心地区で唯一の住宅、さらには国内外からの利用を見込む「サービスアパートメント」を備えている。「渋谷の街の魅力を高め、渋谷の発展、日本の成長の一翼を担いたい」と星野氏。オフィス空室率の上昇も懸念される中、開業時に95%が契約済みと企業からの評価も高い。
これらの施設はいずれも、海外からも注目されている。日本の都市競争力向上に向けた、不動産会社の知恵比べが続く。